空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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撃退

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 結局、その日はストーカー野郎が店に来ることはなかった。

「フローラさん、お疲れ様です」

「あぁ、カリナさんもお疲れ様です」

「来ませんでしたね」

「えぇ、ホッとしたような、拍子抜けしたような妙な気分です...」

「では帰りましょうか」

「はい」

「ちなみにフローラさんのお家は近いんですか?」

「そうですね。歩いて10分くらいです」

「分かりました。行きましょうか」

「はい、よろしくお願いします

 歩き始めて5分ほど経った頃だった。人通りの少ない道に差し掛かった辺りで、

「へへへ、ようフローラ。今お帰りかい?」

 ストーカー野郎が現れた。周りに5人の用心棒らしき男達を引き連れている。フローラさんが怯えているのが手に取るように分かる。

「夜道は物騒だからなぁ。俺が送ってやるよ」

 私は物も言わずにフローラさんを亜空間に引っ張り込んだ。

「ぬあっ!? き、消えた!?」

 ストーカー野郎がビックリしている。一度見たはずなのに忘れているんだろうか? 少し頭を強く殴り過ぎたかな?

「か、カリナさん...」

 フローラさんが恐怖で震えている。無理もない。私はフローラさんをそっと抱き締め、

「大丈夫ですよ。ここに居れば安全ですからね。私はちょっとアイツらを懲らしめて来ますから、ここで見てて下さいね?」

「は、はい...」

 私はストーカー野郎と用心棒らしき男達を観察する。ストーカー野郎は丸腰だが、男達は剣やナイフ、警棒などの得物を所持している。

 これは反撃を食らって殺されたとしても文句は言えないだろうと判断した。なのでいつも通り一人ずつ片付けて行く。

「あぁっ!?」「いぃっ!?」「うぅっ!?」「えぇっ!?」「おぉっ!?」

 はい、終了。簡単なお仕事だった。私は亜空間から姿を現し、なにが起こったのか分からず呆然と立ち尽くしているストーカー野郎に剣を向けた。

「残るはあなた一人ですよ? 覚悟はいいですか?」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! お、お助け~!」

 ストーカー野郎は腰が抜けたようで、その場にへたり込んでしまった。

「これに懲りたら二度とフローラさんに近付かないように。分かりましたか?」

 ストーカー野郎はコクコクと首を縦に振った。

「よろしい。では、さようなら」

 私は亜空間で待つフローラさんの元に戻った。

「ただいま戻りました」

「か、カリナさ~ん!」

 フローラさんが泣きながら抱き付いて来た。よっぽど怖かったんだろう。

「もう大丈夫ですよ。安心して下さいね」

 私は優しく抱き返しながらそう囁いた。
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