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ストーカー
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駆け付けてみるとそこには、若い女の人を後ろから羽交い締めにしている男の姿があった。
「止めなさい! なにをしてるんですか!」
私は破邪の剣を抜きながら男に対峙する。
「な、なんだ貴様は!?」
「ただの通りすがりの冒険者ですよ」
「冒険者だぁ!? 関係ないヤツはすっこんでろ! これは俺達の、男と女のプライベートな問題だ! 口を挟んで来るんじゃねぇ!」
男はかなり気が立っているようだ。
「そうはいきませんよ。その女の人、明らかにイヤがってるじゃないですか?」
女の人は男の右手で口を塞がれているので喋れないが、涙目になってコクコクと頷いているから間違い無さそうだ。
「う、うっるせぇ! てめえの知ったことじゃねぇ!」
男はますますいきり立った。
さて、どうしようか? 男を始末するのは簡単だが、初めて来た町でいきなり人を殺めることは出来ればしたくない。この二人の関係がどうなっているのか不明でもあるし。
という訳で、私はいつものように亜空間に潜った。
「なっ!? き、消えた!?」
男がビックリしている。そりゃ無理もないか。いきなり目の前から人が消えたらそういうリアクションになるよね。
なんかそういった反応に懐かしさと新鮮さを感じながら、私は男の後ろに回り込んで剣の柄でしこたま後頭部を殴り付けた。
「ぐえっ!?」
男が悶絶しながら地面に倒れ込んだ。死なない程度の手加減はしたから気を失っただけだと思う。
「大丈夫でしたか?」
私は訳が分からないといった感じで呆然としている女の人に話し掛けた。
「ひえっ!?」
「あ、すいません。ビックリさせちゃいましたかね?」
そりゃそうだわな。この女の人にとってみりゃ、いきなり目の前から私の姿が消えたと思ったら、次の瞬間には自分を抑え込んでいた男が地面に倒れてんだもん。そりゃ混乱するわな。
「えっ!? あ、あの、えっと...」
「怪我はありませんか?」
「は、はい...あ、あの、あなたは一体...」
その時、通りの向こう側が騒がしくなって来た。するとその女の人は騒ぎになるのを嫌ったのか、
「と、取り敢えずこの場所を離れましょうか...は、話はその後ということで...」
「分かりました」
女の人が足早に去って行くので、私もその後を付いて行った。
◇◇◇
「どうぞ。入って下さい。まだ営業前ですがお気になさらず」
女の人に案内されたのは一軒の居酒屋だった。
「私、この店で働いているんです。フローラと申します。先程は危ない所を助けて頂いてありがとうございました」
「私は冒険者のカリナと言います」
「冒険者の方というと、先程お姿が消えたように見えたのは...」
「あれは私の能力です。私は空間魔法使いなんです」
「空間魔法...なるほど、そういうことでしたか」
「フローラさん、差し支えなければさっきの男のことを聞かせて貰っても?」
「あの男は...私のストーカーなんです...」
「止めなさい! なにをしてるんですか!」
私は破邪の剣を抜きながら男に対峙する。
「な、なんだ貴様は!?」
「ただの通りすがりの冒険者ですよ」
「冒険者だぁ!? 関係ないヤツはすっこんでろ! これは俺達の、男と女のプライベートな問題だ! 口を挟んで来るんじゃねぇ!」
男はかなり気が立っているようだ。
「そうはいきませんよ。その女の人、明らかにイヤがってるじゃないですか?」
女の人は男の右手で口を塞がれているので喋れないが、涙目になってコクコクと頷いているから間違い無さそうだ。
「う、うっるせぇ! てめえの知ったことじゃねぇ!」
男はますますいきり立った。
さて、どうしようか? 男を始末するのは簡単だが、初めて来た町でいきなり人を殺めることは出来ればしたくない。この二人の関係がどうなっているのか不明でもあるし。
という訳で、私はいつものように亜空間に潜った。
「なっ!? き、消えた!?」
男がビックリしている。そりゃ無理もないか。いきなり目の前から人が消えたらそういうリアクションになるよね。
なんかそういった反応に懐かしさと新鮮さを感じながら、私は男の後ろに回り込んで剣の柄でしこたま後頭部を殴り付けた。
「ぐえっ!?」
男が悶絶しながら地面に倒れ込んだ。死なない程度の手加減はしたから気を失っただけだと思う。
「大丈夫でしたか?」
私は訳が分からないといった感じで呆然としている女の人に話し掛けた。
「ひえっ!?」
「あ、すいません。ビックリさせちゃいましたかね?」
そりゃそうだわな。この女の人にとってみりゃ、いきなり目の前から私の姿が消えたと思ったら、次の瞬間には自分を抑え込んでいた男が地面に倒れてんだもん。そりゃ混乱するわな。
「えっ!? あ、あの、えっと...」
「怪我はありませんか?」
「は、はい...あ、あの、あなたは一体...」
その時、通りの向こう側が騒がしくなって来た。するとその女の人は騒ぎになるのを嫌ったのか、
「と、取り敢えずこの場所を離れましょうか...は、話はその後ということで...」
「分かりました」
女の人が足早に去って行くので、私もその後を付いて行った。
◇◇◇
「どうぞ。入って下さい。まだ営業前ですがお気になさらず」
女の人に案内されたのは一軒の居酒屋だった。
「私、この店で働いているんです。フローラと申します。先程は危ない所を助けて頂いてありがとうございました」
「私は冒険者のカリナと言います」
「冒険者の方というと、先程お姿が消えたように見えたのは...」
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「空間魔法...なるほど、そういうことでしたか」
「フローラさん、差し支えなければさっきの男のことを聞かせて貰っても?」
「あの男は...私のストーカーなんです...」
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