空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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弱気の虫

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「フゥ...全員終わりましたね? 数は合ってましたか?」

 全員が頷いたので、

「それじゃあ金貨を仕舞って帰りましょうか」

 私はさっさと袋に金貨を詰め始めたのだが、

「あの、すいません...カリナさん、また私の分も収納して貰っていいですか?」

 ステラさんがそう言って来た。このやり取りもデジャヴ感があるね。

「えぇ、構いませんよ。後で銀行に寄りましょう」

「ありがとうございます」

「えっと...今のはどういう意味ですか!?」

 そんな私とステラさんのやり取りを、不思議そうな面持ちで眺めていたアスカさんが聞いて来た。

「あぁ、それはですね...」

 私とステラさんは以前のやり取りを説明した。

「カリナさん、それなら私の分もお願いします」

「私の分も頼む」

 アスカさんとラウムさんまで頼んで来た。

「別に構いませんが、なんで誰もセリカさんには頼まないんですか? 要領は同じですよ?」

「あ、言われてみれば確かに...でも...ねぇ?」

「そうそう...なんとなくカリナの方が安心出来る感じ?」

 をいをい...そんなこと言ったらセリカさんが可哀想じゃんか...今は苦笑してるだけだけど内心はきっと傷付いてるんじゃないか?

 私はジト目でお二人を眺める。私の視線の意味に気付いたお二人は慌てて、

「せ、セリカさん! す、すいません! 他意は無いんです! 本音が駄々漏れしただけで...あっ!」

「す、済まん、セリカ! ついポロッと本音が...あっ!」

 ...アンタらわざとやってないか? セリカさん、こめかみに立てた青筋がピクピクしちゃってるじゃん...

「いえいえ、お気になさらず...」

 セリカさんの良い笑顔が怖いよ~...


◇◇◇


 その後、銀行に寄って三人分の金貨を預けてからパーティーホームに帰った。

「さて、それじゃあ改めて今後の予定を決めましょうか?」

『......』

 うん? なんかみんなの反応が鈍いな?

「皆さん、どうかしました?」

 すると四人を代表する形でおずおずとアスカさんが語り出す。

「あのぅ...カリナさん、その...ですね...」

 なんかめっちゃ歯切れが悪いアスカさんを見て私はピーンと来た。これはあれだな。以前、ステラさんとセリカさんの時にもあった、弱気の虫が騒ぎ出したってことなんだろうな。

 ステラさんとセリカさんが目を伏せている所を見るに、どうやら間違いない無さそうだね。

 冒険よりも安定を望む。危険な仕事は出来ればやりたくない。その気持ちは分からんでも無いが、私達の立場的にどうもそれは難しそうなんだよね。

 さてさて、どう説得したもんやら...
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