空間魔法って実は凄いんです

真理亜

文字の大きさ
上 下
225 / 462

カリナ、要らない子

しおりを挟む
 ラウムさんと話しながら上空を舞うステラさんを眺めていると、さっきまでゆったりと飛んでいたステラさんが突然、ある地点の上空で旋回し始めた。

「どうやら見付けたみたいですね」

「あぁ、そのようだ」

「ここからだと結構距離がありそうですね」

 そんなことを話していると、ステラさんがこっちに飛んで来て一声、

「クエッ!」

 と鳴いた。そして私達を誘導するかのようにゆっくり飛び始めた。

「早速行きましょうか。セリカさんはもう亜空間に入ります?」

「い、いえ、それはさすがに申し訳ないので...アナコンダの近くまでは自分の足で歩きます...」

「分かりました」

 こうして私達は湿地帯に足を踏み入れたのだった...のだが...


◇◇◇


「待てセリカ! その先は底無し沼になっている!」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ! そ、そうなんですか~! ラウムさん、ありがとうございます~!」

「カリナさん! その葉っぱに触れてはなりません! 猛毒を含んでいます!」

「へっ!? そ、そうなんですか!? わ、分かりました! アスカさん、ありがとうございます!」

 とまぁ、こんな感じでハッキリ言って私とセリカさんはお荷物でしかなかった。聞けばアスカさんとラウムさんのお二人は、この湿地帯に以前は別の仕事でそれぞれ来ており、それなりに苦労を強いられたので詳しくなったんだとか。

 先輩冒険者達のありがたい訓示を受けながら、私達はステラさんの誘導に従ってゆっくりと湿地帯を進んで行く。

 小一時間ほど歩いただろうか、

「ここからは静かに。そろそろ現場に到着しそうだ」

 先頭を歩くラウムさんが指示を下す。私はまずセリカさんを亜空間に放り込んでから身構えた。

 上空を見上げるとステラさんがホバリングしている。どうやら現場に到着したようだ。

 茂みの中からそっと前方に視線を向ける。居た! アナコンダだ! ちょっとした沼地のようになった場所で、その巨体を水の中に半ば沈めながらゆったりと寛いでいる。

 それにしてもデカい! なんて大きさだ! 全長10mを超えると依頼書には書いてあったが、近くで見るともっともっと大きく感じる。胴体回りの太さなんてちょっとした成人男性のウエストくらいあるんじゃないかな?

「居たな。しかしまぁ、良くもここまで育ったもんだ」

「恐らく50年以上は軽く生きているでしょうね。じゃないとあそこまで大きくならないでしょう」

「だろうな」

「どう殺ります?」

「アナコンダは皮が高く売れるからなるだけ傷付けたくない。一撃で仕留めるからアスカ、魔法でこっちに誘導してくれないか?」

「分かりました」

 ...なんだか私抜きで先輩達がドンドン話を進めて行くんだけど...

 もしかしたら私って要らない子!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~

川嶋マサヒロ
ファンタジー
 ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。  かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。  それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。  現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。  引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。  あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。  そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。 イラストは ジュエルセイバーFREE 様です。 URL:http://www.jewel-s.jp/

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...