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緊急搬送

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「すいません...大丈夫です...ちょっと魔力を使い過ぎただけで...」

「少し休んだ方が良いんじゃないですか?」

「いえ、急がないと...娘が...」

「娘さんですか?」

「えぇ、馬車に乗せています...流行り病で苦しんでいるんです...早く医者に診せてあげないと...」

 私とステラさんは素早くアイコンタクトした。それだけで通じ合えたステラさんは、鳥の姿になるために服を脱ぎ始める。

「分かりました。運ぶのをお手伝いします」

 そう言うなり私は女の人を亜空間に放り込んだ。それから馬車に乗り込み娘さんを確認する。5歳くらいだろうか。苦しそうに喘いでいる。可哀想に...私は女の子を抱き抱えて亜空間に引っ張り込んだ。

「えっ!? な、なになに!? ここはどこ!?」

 女の人がいきなりの展開に目を丸くする。

「ここは私が作り上げた亜空間の中です。セリカさん、こちらは...すいません、お名前は?」

「わ、私はアスカと言います...」

「アスカさん、こちらは私の仲間のセリカさんです。セリカさん、状況はご覧になっていました?」

「は、はい! 声は聞こえなかったけど、なんとなく大変なんだなってことは伝わりました!」

「こちらのアスカさんの娘さんが、流行り病で苦しんでいて急を要するそうです。だから医者の所に運ぶのをお手伝いしたいと思います」

 そう言って私は抱き抱えている女の子をセリカさんに託す。

「馬車を持って来ますんで、ちょっとこの女の子をお願いします」

「り、了解です!」
 
 私はいったん亜空間から出てステラさんに状況を説明する。

「馬車を亜空間に放り込んだら、女の子を助けるために飛んで下さいね?」

「クエッ!」

 次に私は馬車を亜空間に放り込んで、女の子を抱いているセリカさんに、

「セリカさん、ありがとうございます。女の子を馬車の中に入れて下さい」

「わ、分かりました!」

「あ、あの...」

 まだ戸惑った顔のアスカさんが話し掛けて来た。まぁこんな急な展開じゃ無理もないよね。

「アスカさん、安心して下さい。馬車よりもよっぽど早く着きますよ?」

「は、はぁ...」

 うん、まだ半信半疑って感じだね。それも当然か。

「さっきまで一緒に戦っていたのはステラさんって言って鳥の獣人さんなんです。どこだろうとひとっ飛びですよ? ちなみにどこへ向かえは良いんです?」

「あっ...えっと...王都まで...」

「分かりました。セリカさん、後はお願いします」

「ま、任せて下さい!」

 私は亜空間から出てステラさんに告げる。

「ステラさん、大急ぎで王都までお願いします」

「クエッ!」
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