空間魔法って実は凄いんです

真理亜

文字の大きさ
上 下
208 / 462

温泉宿にて

しおりを挟む
 次の日、その後は何事もなく日が暮れる前に温泉街に着いた。私達が温泉街に向かう途中だったということを知ったラウムさんは、快く同行すると言ってくれたので『だったらラウムさんの歓迎会を兼ねて、みんなで心行くまで温泉を堪能しよう!』って流れになった。

 街中には温泉街特有の硫黄の匂いが漂っている。私達は宿に部屋を取って一休みすることにした。

「フウ...お疲れ様でした...」

「疲れましたね...」

「早速お風呂に入ります?」

「そうだな。そのために温泉に来たんだから」

 という訳で四人揃ってお風呂に向かった。

「露天風呂があるようですよ?」

「風情があって良いですね」

「ちょっと恥ずかしいですけど...」

「女同士だ。なにも恥ずることはあるまい」

 露天風呂は無人だった。貸し切り状態だね。

「うわぁ、貸し切り状態ですね~」

「気持ち良いです~」

「ら、ラウムさん...す、凄いですね...」

 セリカさんがラウムさんの裸をガン見している。確かにボンキュッボンのナイスボディーだよねぇ。女の私でもドッキリするくらいだ。セリカさんなんか風呂で逆上せたみたいに真っ赤になってるよ。

「あ、あんまりジロジロ見ないでくれ...さ、さすがにちょっと恥ずかしいぞ...」

 今度はラウムさんが赤くなっちゃった。なんだか初々しいのぉ~♪ ラウムさんって堂々としているイメージあったけど、実は案外純情さんだったりするのかな?

「カリナさん...また育ってませんか?」

 そんなことを思ってたら、私の裸をステラさんがガン見していた。

「あぁ、確かに。最近ちょっと服の胸の辺りがキツくなって来たかも」

「そうなんですね...」

 ん? なんでステラさんが落ち込んでいるんだ?


◇◇◇


「ん~♪ 美味しいですね~♪」

「さすがは人気の温泉宿! 料理も逸品ですね~♪」

「山の幸がふんだんですね~♪」

「ハグ...ウグ...美味美味~♪」

 四人で舌鼓を打った。

「セリカさん、これも少し収納しときます?」

「いえいえ、それは無粋ってもんですよ~♪ これは温泉宿で食べるから美味しいんですよ~♪」

「セリカさんの言う通りですね~♪ こういうのは雰囲気と一緒に頂くもんですよね~♪」

「ハグ...モグ...旨旨~♪」

 なるほど、そういうものなのか。というかラウムさん、さっきから同じことしか言ってない...ただひたすら一心不乱に食ってるだけ...どんだけ腹減ってたんだ!? 

 そういや昨夜の夕食もかなりの量食ってたな。もしかして腹ペコキャラなのかな!? それとも獣人が元々そうなのかな? いやでもステラさんは違うよな。普通の食欲だし。

 なにはともあれ、賑やかな夕食の時間は穏やかに過ぎて行き、私達は程良い疲れと共に眠りに就いたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~

川嶋マサヒロ
ファンタジー
 ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。  かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。  それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。  現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。  引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。  あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。  そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。 イラストは ジュエルセイバーFREE 様です。 URL:http://www.jewel-s.jp/

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

処理中です...