空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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謎の獣人

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 温泉地までの旅程は順調だった。

 だが、そろそろ辺りが暗くなって来て野営の時間に差し掛かった頃だった。

「魔物が出ました」

 私は馬車を止めてお二人に報告した。

「種類はなんですか?」

 ステラさんが戦闘体型になって馬車から降りて来た。私も破邪の剣を装備する。

「オークの群れのようです。囲まれたみたいですね。セリカさん、念のため馬車と共に亜空間へ避難していて下さいね?」

「わ、分かりました!」

 私はセリカさんの体に触れ、亜空間へと放り込んだ。次に馬と馬車も同様に放り込む。

「ステラさん、前方をお願いします。私は後方を」

「了解です」

 私はステラさんと別れて後方に向かう。10頭ほどのオークが群れている。だがなんか様子が変だ。

 こちらに向かって来るのではなく、なにかを取り囲んでいるように見える。私は亜空間に潜り込んで近付いて行った。すると、

「ハアァァァッ! ヤアァァァッ!」

 女の人が一人でオークの群れと戦っていた。

 バスターソードって言うんだろうか。やたらデカくて長い剣を振り回している。真っ赤な長い髪を靡かせて、まるで踊るように次々とオークを倒して行く。その見事な剣技に思わず見惚れてしまった。

 しかも格好がこれまた...一言で言ってとてもエロい。タンクトップから今にもはみ出しそうなたわわに実ったお胸に、ショートパンツから伸びる足はムチムチしていて張りがある。

 オマケにヘソ出しルックというスタイルでとにかく露出が多い。一歩間違えたら痴女扱いされそうだ。

 女の私が見てもドキドキする。そうこうしている内にオークの群れは全滅していた。どうやら腕はかなり確かなようだ。

 その女の人は、オークの血に染まったバスターソードを振り回して血を飛ばし、背中に担ぐように剣を収めた。

「あ、あの...」

 私は思わずその女の人に話し掛けていた。

「どわぁっ!?」

「あ、すいません...」

 いきなり私が亜空間から現れたからビックリさせちゃったみたいだ。
 
「な、なんだお前は!? ど、どこから現れた!?」

「私は冒険者のカリナと申します。驚かせてしまって申し訳ありません。私は空間魔法使いなんで、亜空間に隠れていたんですよ」

「冒険者なのか。空間魔法使いっていうのは初めて聞いた。私も冒険者だ。名はラウム。見ての通り剣士をやっている。よろしく」

「よろしくお願いします」
 
 私達は握手を交わした。

 ラウムさんを改めて見て気付いた。ラウムさんの頭の上に猫耳が付いていることに。

 どうやら猫系の獣人の方のようだった。

 
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