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打ち上げ

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「こ、これはもう一財産って言ってもいいんじゃ...」

「も、もう働く必要ないかも...」

 いやいや、さすがにこの歳で引退はまだ早いっしょ。

「はい、その金額で結構です。換金をお願いします」

 私は呆然自失としているお二人を放っておいて淡々と話を進める。

「分かった。現金は魔石の金額と合わせて受付で受け取ってくれ」

「了解です。色々とありがとうございました」

 先程の受付嬢さんの所に向かう。既に話は通っていたのか、ズッシリと重い金貨袋を二つ渡された。

「こちらがそれぞれ魔石とドロップアイテムの金額になります。お確かめ下さい」

 確認しようにも量が多過ぎる。ここで広げる訳にも行かないし。困っていたら受付嬢さんが、 

「あぁ、気が利かなくて申し訳ございません! 別室をご用意しますのでそちらでどうぞ!」

 そう言ってさっきより狭い部屋に案内された。

「じゃあ早速金勘定しましょうか」

「こ、こんな大金見た事ありません...」

「わ、私もです...なんか実感が湧きません...」

 未だフワフワしているお二人と共に金貨を数えて行く。

「金額は合っているようですね。それじゃあ早速三等分しますか」

「あ、でも袋は二つしかありませんよ?」

「袋なら持ってます」

 私は亜空間から金貨袋を取り出した。実家の金庫から持ち出した財産の一部だ。袋の中を確認すると、まだ入れる余地が残っている。

「ありゃ? 三で割れませんね。余りはどうしましょうか?」

「「 それはもう是非ともカリナさんに! 」」

 お二人が見事にハモッた。

「いやいや、それは申し訳ないからパァーッと使いましょう。ダンジョン攻略の打ち上げって事で」

「いいんですか?」

「ゴチになりやす!」

 私達は部屋を出て受付嬢さんの所に戻った。

「金額は合ってました。問題ありません」

「良かったです。では例の大きな魔石の買取現金が揃いましたら、ご連絡申し上げますのでこちらにご住所をお願い致します」

 私がシェアハウスの住所を記入している後ろで、

「そ、そう言えば一番の大物が残っていましたね...」

「ど、どうしましょう...な、なんだか怖くなって来ました...」

 お二人がそんなことを囁き合ってた。いや、忘れてたのかよ...


◇◇◇


「「「 かんぱ~い! 」」」

 打ち上げ場所に選んだレストランでジョッキを合わせる。もっとも私はジュースだけど。未成年だからね。

「「「 お疲れ様でした~! 」」」

「じゃあ早速頼みましょうか」

「えぇ、どれにしようかな~」

「あ、これ美味しそう!」

 お二人はメニューを見て悩んでる。私はと言えば、

「すいませ~ん! ここからここまで全部くださ~い!」


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