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ダンジョン侵入

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「じゃあステラさん、行きましょうか」

「......」

 完全に上の空だな。

「お~い、ステラさ~ん」

「はっ!? す、すいません! ちょっとボーッとしてました!」

「やっぱり心配ですか?」

「...えぇ、あんな別れ方をしましたが、確かに一度は仲間だった人達ですから...」

 セリカさんも似たような表情を浮かべている。ついこの間、同じ思いを味わっているから尚更だよね。

「だったらダンジョンに行きましょうか?」

「えっ!? いいんですか!?」

「えぇ、セリカさんもそれでいいですよね?」

「はい、もちろんです!」

「カリナさん、ありがとうございます...」

「じゃあセリカさん、早速」

「い、嫌です!」

 なんでやねん! 行く言うたやろ!

「瞬間移動の繰り返しで行くのは嫌です! 馬車で行きましょう馬車で!」

 あぁ、それを嫌がってたのね。怪訝な顔をしているステラさんに説明する。

「魔力が空っぽになる所だったんですからね! あんな苦しい思いは二度とゴメンです!」

「安心して下さい。今回はステラさんが居ますから、飛んで行きますよ。だからセリカさんは亜空間でのんびりしてて下さいな」

 そう言って私はセリカさんを亜空間に放り込んだ。

「じゃあステラさん、行きましょうか」

「あ、はい。あの...カリナさん、いつもこうしておけば、セリカさんを一人残して飛ばなくても良いんじゃないですか?」

「それはダメです。万が一、私が死んだりしたら、セリカさんは亜空間から出られず餓死してしまいますから。こういった移動手段は緊急時だけにしてます」 

 もしもの場合のことは常に考えておかないとね。何事にも絶対なんて有り得ないんだから。

「あぁ、なるほど...理解しました」

「それじゃあ行きましょうか」

「はい、服を脱いで来ますね」

 こうしてまたしてもダンジョンに行くことになった。


◇◇◇
 

「いやぁ、まさにひとっ飛びでしたね~」

「わ、私はあんなに苦労したのに...」

 セリカさんがボヤいてる。空を飛ぶって凄いね。ダンジョンまであっという間だったよ。

「お待たせしました。じゃあ入りましょうか」

 服を着て来たステラさんが合流した。

「ダンジョンの入口は静かですね」

 私達はダンジョンに侵入した。

「そういやこのダンジョンって何階層まであるんです?」

「えっと確か...最高到達地点は60階層だと聞きました」

「そうですか。彼女達は何階層くらいまで行ってるんでしょうね?」

「あんまり深い階層まで行ってないといいんですが...」

 ステラさんは心配だろうな。

 1階層目は全く魔物の姿は見えない。私達は2階層目に至る階段に辿り着いた。
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