空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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感謝

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 テントを張り終わり、火を焚いて食事にしようとしている時だった。

「おい! 誰か来るぞ!」

 見張りをしていたマックスが叫ぶ。私達は警戒して一ヶ所に固まった。やがて複数の蹄の音と共に現れたのは、

「止まれ! おや? 君達は?」

「あ、どうも...お疲れ様です...」

 ギルドマスターだった。後ろにかなりの人数の冒険者を引き連れている。中には騎士団の騎士服を着ている人も混じっている。暗い中、危険を冒してまで急いで駆け付けてくれたらしい。

「こんな所で何をしてるんだ!? 危険だって言っただろう!?」

「え~と...実はですね...」

 外に出ないで大人しくしているようにって言われたのに、それを破っちゃって心苦しく思いながらも、事ここに至った経緯を説明した。

「なんと!? 君がスタンピードを未然に防いだと言うのか!? とても信じられん...とにかく見に行ってみよう。一緒に来てくれるか?」

 だよねぇ...誰も信じられないよねぇ...

「分かりました」

 一緒にダンジョンまで行って検証して貰うことにした。その結果、

「確かに魔物の気配は無いな。スタンピードの予兆も感じられない」 

 どうやらお墨付きを貰えたらしい。

「それで!? どうやって魔物の群れを倒したのか、実際に見せて貰ってもいいか!?」

「あ、はい。じゃあ行きます」

 そう言って私は亜空間に潜り込んだ。一瞬で私の姿が消えたので、ギルドマスター達がビックリしている。

 私はやや離れた所まで移動して、

「ここですよ~」

 と手を振った。

「なんと!? もしかして君は空間魔法使いなのか!?」

「あ、はい。そうなんです」

「なるほど! そうやって魔物の群れを誘導したんだな! それで合点が行った!」

「えぇ、こうやって群れの先頭を誘導すれば、後は勝手に崖下へと落ちて行ってくれました」

 私は断崖絶壁の所まで移動してそう言った。

「いやぁ、素晴らしい作戦だ! 感心したよ! 良く思い付いたもんだ!」

「ありがとうございます。もっとも崖下は滝壺になってるんで、魔物の安否までは確認できませんが」

「いやいや、それは大丈夫。よっぽど頑丈な魔物でも、この高さから落ちたら無事じゃ済まない。スタンピードの危険は回避されたと言っていい。ありがとう! 良くやってくれた!」

「いえいえ、仲間を助けようとしただけですから」

 成り行きでスタンピードを止めることになっちゃったけど、本来ならセリカさんの昔の仲間を助けに来ただけだもんね。

 まぁでも、こうやって感謝されるのは良い気分だね。
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