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オーガ

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「あれは...オーガ!?」

 それは身の丈3mに迫ろうかという、筋骨隆々とした2本角の鬼だった。手には金棒を握り締めている。

「な、なんでオーガがこの森に!? あ、あれはダンジョンに出る魔物ですよ!?」

 セリカさんが驚愕した表情を浮かべる。

「そうなんですか? ダンジョンから外に出ちゃったんですかね?」

「そんなことが起きないように魔物の間引きをしているはずなんですが...」

 セリカさんも困惑顔だ。確かにそんなこと言ってたね。

「取り敢えず、倒しておきますか。状況の分析はその後ってことで」

「た、倒せるんですか!?」

「まぁ急所を突けばなんとか。とにかくやってみます」

 そう言って私はオーガの背後に回り込んだ。首の後ろの急所を狙って...って、分厚い筋肉に覆われてるな...私のレイピアで突き刺さるかな...

「セイヤッ!」

 気合いを込めて突いてみたけど...やっぱり硬い...レイピアが半分も刺さらない...

「グアオッ!」

「どわっ!」

 あ、危なかった! オーガが金棒を振り回して来たよ! もう少しで当たる所だった! 気を引き締めないと!

 でもあのデカい狼ロボと戦った時のような圧倒される感じはない。攻撃もちゃんと通じてるし。あと2、3回当てれば倒せそう。

 私は再びオーガの後ろに回り込む。そして同じ箇所にレイピアを突き刺す。良し、さっきより深く刺さった。

「グアオラァッ」

 オーガがメチャクチャ暴れ出した。私の見えない攻撃に相当苛立っているようだ。金棒でそこら辺の草木や岩などを破壊しまくってる。

 もう一押しかも。私はもう一度オーガの後ろに回り込む。また同じ箇所にレイピアを突き刺す。今度はかなり奥まで刺さった。

「グア...」

 ついにオーガの巨体が地響きを立てて崩れ落ちた。

「フウッ...やっと終わった...」

 私は大きく息を吐いた。苦労したけど倒せて良かったよ。

「か、カリナさん! す、凄いですぅ~! オーガを一人で倒しちゃうなんてぇ~! 尊敬しちゃいますぅ~!」

「アハハ、ありがとうございます。なんとか倒せました。セリカさん、解体をよろしくお願いします」

「ガッテンです! お任せあれ!」

 私は嬉々としてオーガの解体に向かうセリカさんを見やりながら、何か異常事態が起きていることを肌で感じて身震いした。

 まずはいったんギルドに戻って報告した方が良いだろうな。セリカさんがオーガを解体している間、他にもダンジョン産の魔物が襲って来ないか警戒しながら、私はそう思っていたのだった。

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