空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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密談

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 イレーナの所で働くようになった翌日、早速動きがあった。

「お嬢様」

 セバスチャンがやって来てイレーナに何か耳打ちした途端、イレーナの顔が激しく歪んだ。

「あんの役立たずどもが...仕方ないわね...セバスチャン、他にアタリは付けてある?」

「えぇ、何人かは」

「早速手配して頂戴」

「畏まりました」

 そう言ってセバスチャンが出て行った後、イレーナは爪を噛みながらなにやらブツブツと呟いていた。クリス様襲撃失敗の一報が届いて、新しい刺客にコンタクトを取ったということなのだろう。

 こちらの思惑通りである。私は笑みが溢れないよう唇を噛み締めた。


◇◇◇


 その日の夜、

「お嬢様、準備が整いました」

「そう、分かったわ...カリナ、私はこれから出掛けるけど、セバスチャンが護衛をするからあなたはもう休んでいいわよ」

 なるほど...まだ私はそこまで信頼されてないってことか。これから密談をするであろう場所には連れて行けないと。まぁ昨日雇われたばっかりだしね。無理もないか。

「...よろしいのですか!?」

「えぇ、セバスチャンが居れば心配ないわ」

「...分かりました」

 と、引き下がったフリをして部屋を出てからすぐに亜空間へと潜む。するとフードを目深に被ったイレーナとセバスチャンが部屋から出て来た。

 私はそっと後を尾ける。ヤツらは馬車で移動するようだ。私は馬車の屋根に登った。馬車はスラム街のような寂れた場所に向かっている。

 やがて馬車は一軒の朽ち始めた空き家の前で止まった。密談するにはもってこいの場所だろう。真っ暗なのでセバスチャンがカンテラに火を灯し先導する。

 空き家の中に入って行く二人の後に付いて、私もコッソリと中に入った。

「遅かったな」

 中で待っていたのは、如何にも破落戸といった風体の薄汚れた男だった。

「私も色々と忙しいのよ」

 イレーナが素っ気なく答える。

「それで!? ターゲットは!?」

「この女よ。名前はクリス・エバートン。男爵家の娘よ」

 イレーナがクリス様の絵姿を男に見せる。

「お貴族様か。うっひょう! 良い女じゃねぇか! 堪んねぇな! で!? どうすりゃいいんだ!? 殺せばいいのか!?」

「そこまでは望んでないわ。傷物にしてくれるだけでいい。その後は好きにして構わないわ」

「へへへっ! そうかい! そりゃ楽しみだ!」

「前金でこれだけ払うわ。残りは成功報酬よ」 

「毎度ありぃ! これだけ貰えりゃ張り切ってやるぜい!」

「お願いね」

 そろそろいいかな? コイツらの有罪が確定したしね。

 さぁでは捕縛と行きますか!
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