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襲撃
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次の日、私達はイアン様の領地コリンズ領に向けて出発した。
御者はクリス様の所の使用人が務めるとのことなので、私はクリス様と一緒に客席に座っている。
「...なるほど、クリス様のお相手は幼馴染みの方なのですね?」
「は、はい...」
クリス様が顔を真っ赤にして消え入りそうな声で呟く。時間があるので私達は所謂コイバナに興じていた。
クリス様の意中の方は、男爵家の次男坊なんだそうな。子供の頃から家族ぐるみの付き合いで仲良くしていたというのと、お互いが同い年ということもあって、自然に意識するようになっていったらしい。
お二人ともそのまま結婚するものとばかり思っていたのだが、折り悪くお相手の男爵家が慣れない事業に手を出し失敗して、多額の借金を抱えてしまった。このままだと爵位を返上しなければならなくなってしまうため、援助してくれそうな裕福な家の令嬢を捕まえる必要が生じた。
残念ながらクリス様の子爵家は、クリス様自ら仰っていた通り貴族とは名ばかりの貧乏貴族なので、とても援助できる余裕は無い。
なので泣く泣くクリス様は身を引き、お相手の方も泣く泣く援助してくれそうな裕福な家の令嬢探しに入ったのだとか。
なるほどねぇ..まぁ、可哀想だとは思うけどさ、貴族として家のために犠牲になるのは仕方ないことなのかなぁ。
ただこうなると、事業に失敗して借金を拵えた男爵を恨みたくなるよねぇ。クリス様は恨み言一つ言わないけどさ、心中は察するものがあるなぁ。
そんなことを思っていた時だった。馬車が急停止した。
「な、なんだお前ら!?」
御者の焦ったような声が響く。何事!? と思って外を見ると、
「囲まれてる...」
盗賊らしき連中が馬車を取り囲んでいた。
「あ、あの...一体なにが!?」
クリス様が不安そうに囁く。私はそれに答えず、クリス様に触れて亜空間に引き込んだ。
「後でちゃんと説明するから、ちょっと待ってて下さいね」
そう言って返事も待たずに引き返す。そして今度は、御者席の使用人の男に手を伸ばした。有無を言わせず急いで亜空間に引き込む。
盗賊達が馬車の中に押し入って来たのはそのすぐ後だった。
「お二人とも安心して下さい。ここに居れば安全ですから」
そう言って私は、空間魔法のいつもの説明を始めた。二人とも最初はビックリして戸惑っていたが、私が外の景色を見せると少し安心したようだ。
盗賊の数は全部で5人。いきなり消えた私達に戸惑っているようだ。
ではいつものようにサックリ片付けますかね!
御者はクリス様の所の使用人が務めるとのことなので、私はクリス様と一緒に客席に座っている。
「...なるほど、クリス様のお相手は幼馴染みの方なのですね?」
「は、はい...」
クリス様が顔を真っ赤にして消え入りそうな声で呟く。時間があるので私達は所謂コイバナに興じていた。
クリス様の意中の方は、男爵家の次男坊なんだそうな。子供の頃から家族ぐるみの付き合いで仲良くしていたというのと、お互いが同い年ということもあって、自然に意識するようになっていったらしい。
お二人ともそのまま結婚するものとばかり思っていたのだが、折り悪くお相手の男爵家が慣れない事業に手を出し失敗して、多額の借金を抱えてしまった。このままだと爵位を返上しなければならなくなってしまうため、援助してくれそうな裕福な家の令嬢を捕まえる必要が生じた。
残念ながらクリス様の子爵家は、クリス様自ら仰っていた通り貴族とは名ばかりの貧乏貴族なので、とても援助できる余裕は無い。
なので泣く泣くクリス様は身を引き、お相手の方も泣く泣く援助してくれそうな裕福な家の令嬢探しに入ったのだとか。
なるほどねぇ..まぁ、可哀想だとは思うけどさ、貴族として家のために犠牲になるのは仕方ないことなのかなぁ。
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そんなことを思っていた時だった。馬車が急停止した。
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「後でちゃんと説明するから、ちょっと待ってて下さいね」
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盗賊達が馬車の中に押し入って来たのはそのすぐ後だった。
「お二人とも安心して下さい。ここに居れば安全ですから」
そう言って私は、空間魔法のいつもの説明を始めた。二人とも最初はビックリして戸惑っていたが、私が外の景色を見せると少し安心したようだ。
盗賊の数は全部で5人。いきなり消えた私達に戸惑っているようだ。
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