空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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冒険者として

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 うん、二人ともポカ~ンって顔してるね。

 アクセル様は断られるとは思ってなかったって顔して、イアン様は寝耳に水って顔してる。

「...理由を聞いてもいいかな?」

「まず第一に、私は王妃に成りたくありません。私に務まるとも思えません。絶対に無理です。ご免被ります。勘弁して下さい。第二に、私って護衛の仕事が結構好きみたいです。家を出る時、私は元々冒険者になるつもりでした。イアン様、私を護衛として雇ってみませんか? 自慢じゃないけど、私って良い働きすると思いますよ? 如何です?」

「...カリナは本当にそれでいいのかい?」

 それでいいのよ。王妃なんて柄じゃないし、冒険者の方がきっと私の性に合ってると思うからね。

「えぇ、元実家のこともありますんで、一度は元母国に戻らないとなって思いますし、お母様のお墓参りにも行きたいですし。それにちょっと心配なんですよ。元母国までの道中、イアン様の身に何か起きるんじゃないかって。この国は今その...ちょっと不安定ですので...」

 クーデター云々を喋る訳にはいかないから、ここはちょっとボカして伝えた。実際、これからクーデターに加担した貴族の粛清が始まるんだろうし、国が荒れそうだからね。

「なるほど...分かった。カリナ、よろしく頼むよ」

「お任せ下さい!」

「ま、待って...ちょっと待ってくれ! カリナ! どうか考え直して貰えないだろうか? 俺には君が必要なんだ!」

「それは護衛としてですか? それなら私が居なくてもきっともう大丈夫ですよ。アクセル様を害そうとする輩はもう」 

「そうじゃない! 愛する人として側に居て欲しいんだ!」

 食い気味に遮られた。愛するって...ド直球だな...私をそう思ってくれるのは嬉しいけど...

「...申し訳ありませんが、私はアクセル様を恋愛対象として見たことは一度もありません」

「...それってやっぱりまだ彼のことを」

「いいえ! 違います!」

 私は慌てて遮った。イアン様本人の目の前でなに言っちゃってんのよ! イアン様はなんのことか分からずポカ~ンとしてるから良かったけどさ!
 
「まだ私に愛だの恋だのは早いってことですよ!」

 忘れてるかも知んないけと、私まだ10歳だからね!?

「...そうか...」

 それだけ言ってアクセル様は俯いてしまった。恋愛経験の乏しい私は、こういう時になんて声を掛けたらいいのか分からない。

 イアン様もどうしたらいいのか分からずオロオロしている。

 部屋の中はどんよりと澱んだ空気に包まれてしまった...
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