78 / 462
冒険者として
しおりを挟む
うん、二人ともポカ~ンって顔してるね。
アクセル様は断られるとは思ってなかったって顔して、イアン様は寝耳に水って顔してる。
「...理由を聞いてもいいかな?」
「まず第一に、私は王妃に成りたくありません。私に務まるとも思えません。絶対に無理です。ご免被ります。勘弁して下さい。第二に、私って護衛の仕事が結構好きみたいです。家を出る時、私は元々冒険者になるつもりでした。イアン様、私を護衛として雇ってみませんか? 自慢じゃないけど、私って良い働きすると思いますよ? 如何です?」
「...カリナは本当にそれでいいのかい?」
それでいいのよ。王妃なんて柄じゃないし、冒険者の方がきっと私の性に合ってると思うからね。
「えぇ、元実家のこともありますんで、一度は元母国に戻らないとなって思いますし、お母様のお墓参りにも行きたいですし。それにちょっと心配なんですよ。元母国までの道中、イアン様の身に何か起きるんじゃないかって。この国は今その...ちょっと不安定ですので...」
クーデター云々を喋る訳にはいかないから、ここはちょっとボカして伝えた。実際、これからクーデターに加担した貴族の粛清が始まるんだろうし、国が荒れそうだからね。
「なるほど...分かった。カリナ、よろしく頼むよ」
「お任せ下さい!」
「ま、待って...ちょっと待ってくれ! カリナ! どうか考え直して貰えないだろうか? 俺には君が必要なんだ!」
「それは護衛としてですか? それなら私が居なくてもきっともう大丈夫ですよ。アクセル様を害そうとする輩はもう」
「そうじゃない! 愛する人として側に居て欲しいんだ!」
食い気味に遮られた。愛するって...ド直球だな...私をそう思ってくれるのは嬉しいけど...
「...申し訳ありませんが、私はアクセル様を恋愛対象として見たことは一度もありません」
「...それってやっぱりまだ彼のことを」
「いいえ! 違います!」
私は慌てて遮った。イアン様本人の目の前でなに言っちゃってんのよ! イアン様はなんのことか分からずポカ~ンとしてるから良かったけどさ!
「まだ私に愛だの恋だのは早いってことですよ!」
忘れてるかも知んないけと、私まだ10歳だからね!?
「...そうか...」
それだけ言ってアクセル様は俯いてしまった。恋愛経験の乏しい私は、こういう時になんて声を掛けたらいいのか分からない。
イアン様もどうしたらいいのか分からずオロオロしている。
部屋の中はどんよりと澱んだ空気に包まれてしまった...
アクセル様は断られるとは思ってなかったって顔して、イアン様は寝耳に水って顔してる。
「...理由を聞いてもいいかな?」
「まず第一に、私は王妃に成りたくありません。私に務まるとも思えません。絶対に無理です。ご免被ります。勘弁して下さい。第二に、私って護衛の仕事が結構好きみたいです。家を出る時、私は元々冒険者になるつもりでした。イアン様、私を護衛として雇ってみませんか? 自慢じゃないけど、私って良い働きすると思いますよ? 如何です?」
「...カリナは本当にそれでいいのかい?」
それでいいのよ。王妃なんて柄じゃないし、冒険者の方がきっと私の性に合ってると思うからね。
「えぇ、元実家のこともありますんで、一度は元母国に戻らないとなって思いますし、お母様のお墓参りにも行きたいですし。それにちょっと心配なんですよ。元母国までの道中、イアン様の身に何か起きるんじゃないかって。この国は今その...ちょっと不安定ですので...」
クーデター云々を喋る訳にはいかないから、ここはちょっとボカして伝えた。実際、これからクーデターに加担した貴族の粛清が始まるんだろうし、国が荒れそうだからね。
「なるほど...分かった。カリナ、よろしく頼むよ」
「お任せ下さい!」
「ま、待って...ちょっと待ってくれ! カリナ! どうか考え直して貰えないだろうか? 俺には君が必要なんだ!」
「それは護衛としてですか? それなら私が居なくてもきっともう大丈夫ですよ。アクセル様を害そうとする輩はもう」
「そうじゃない! 愛する人として側に居て欲しいんだ!」
食い気味に遮られた。愛するって...ド直球だな...私をそう思ってくれるのは嬉しいけど...
「...申し訳ありませんが、私はアクセル様を恋愛対象として見たことは一度もありません」
「...それってやっぱりまだ彼のことを」
「いいえ! 違います!」
私は慌てて遮った。イアン様本人の目の前でなに言っちゃってんのよ! イアン様はなんのことか分からずポカ~ンとしてるから良かったけどさ!
「まだ私に愛だの恋だのは早いってことですよ!」
忘れてるかも知んないけと、私まだ10歳だからね!?
「...そうか...」
それだけ言ってアクセル様は俯いてしまった。恋愛経験の乏しい私は、こういう時になんて声を掛けたらいいのか分からない。
イアン様もどうしたらいいのか分からずオロオロしている。
部屋の中はどんよりと澱んだ空気に包まれてしまった...
40
お気に入りに追加
3,971
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

目覚めれば異世界!ところ変われば!
秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。
ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま!
目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。
公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。
命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。
身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!


妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる