空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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クーデター2

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 兄が向かったのは父の部屋だった。

 部屋の中には父と母、そして二人を守るように抜刀したカイルの姿があった。

「父上...母上...」

「「 アクセル! 」」「殿下!」

「くっくっくっ、まるで感動の再会みたいじゃないか」

 兄が嘲笑う。その笑い方は悪役みたいだぞ?

「アッシュ! 貴様! どういうつもりじゃ!?」

「見ての通りですよ、父上...いえ国王陛下。正当な権利を主張したまでです」

 兄は言い直した。もう父親だとは思っていないということか...

「正当な権利じゃと!?」

「えぇ、本来ならたとえ側妃の子であっても、第1王子たるこの俺が王位を継ぐはずだった。それをあなたは正妃の子可愛さに故に、アクセルを王位に就かせようとした。その間違いを正すのですよ」

 間違いね...どっちが間違っているんだか...

「儂はまだアクセルを後継者に指名すると明言しておらん!」

「明言しているようなもんでしょう。ここ最近のあなた方を見ていれば嫌でも分かりますよ。陛下、そんなに俺のことが嫌いですか? 俺の母上があなたのお気に入りのアクセルを害そうとしたからですか?」

 まぁ明言はしてないが、分かる者には分かるよな...

「それとこれとは関係ない! 儂は純粋に政務と公務の両面から公平に判断しようと思っただけじゃ! 結論はまだ出ていないと言うたはずじゃぞ! それにお前の母親は少々気が触れておった! だからあんなことを仕出かしたんじゃ! だがな、そのことでお前の評価を下げるつもりなどなかった! 儂はちゃんと切り離して考えていたんじゃぞ!」

「俺の母上の気が触れたのは、あなたの寵愛を受けられなくなったからですよ。母上はずっと嘆いていました。あんなに愛してくれていたのにアクセルが産まれた途端、見向きもされなくなったと。それはもう涙ながらに。何度も何度も何度も何度も...全てあんたのせいだ! そしてアクセル! 貴様がこの世に産まれて来たせいだ! だから俺が全て終わらせる! 正しい道に戻してみせる! そう誓ったんだ! 覚悟しろ! 愚かな王に呪われた子よ!」

 兄の目が狂気に澱んでいる。自分の芝居に酔っているかのようだ。これはマズいな...どうやらこの場で俺達を皆殺しにして、その罪を俺に着せるつもりか。

 血迷った俺がクーデターを起こして父と母を殺す。そこに颯爽と駆け付けた兄が俺を殺して仇を討つ。大方そんなシナリオを描いているんだろう。

 ふざけんな! 貴様の思い通りにさせてなるもんか! 最後の最後まで抵抗してやる! 舐めんなよ! 俺は気合いを入れてヤツらを睨み付ける!

 と、その時気が付いた。部屋の外にあれだけ沢山居た近衛騎士の姿が無い。

 何が起こっているんだ!?
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