空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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ミネルバ捕獲

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 ミネルバは配下を10人以上連れて来ていた。

 一体どうやってこれだけの人数を? 私がまず疑問に思ったのはそこだった。だがそれを究明するよりも、未だ状況を呑み込めていないイアン様の安全を確保するのが先だと思った。

「お生憎様。私、鼻が利くのよ。それにしても、まだ私の命を狙っているのね。しつこい女。まるで蛇みたい」

 ミネルバを挑発しながら、さりげなくイアン様の近くに寄る。

「お黙り! いつまでも口の減らない女ね! でもその減らず口もこれまでよ! これだけの人数相手に生きて帰れると思わないことね! 今度こそ息の根を止めてやるわ!」

 ミネルバの顔が醜く歪んだ。

「その執念深さは見上げたもんだけど、一つ聞いていい? なんでイアン様を巻き込んだの?」

 するとミネルバは嘲笑うような口調で、

「そんなの決まっているじゃない! 悲劇の主人公になって貰うためよ! その男は未練がましくあんたを追ってここまで来たのよ? あんたなんかのどこがいいのか、私にはさっぱりだけどね! だから心優しいこの私が、門前払いを食らっていたその男に愛の手を差し伸べてやったのよ! あんたに会えるよう協力までしてやってね! 私の筋書きでは、あんたを連れ戻そうと説得するけど、断られたんで自暴自棄になってしまい、無理心中を図るんだけど一人だけ生き残ってしまった。そこを私達が拘束するって流れになってたのよ。それなのに失敗するなんてね! でもまぁいいわ! ちょっと筋書きからは外れたけど、あんたら二人をここで殺して無理心中に見せかければ万事OKよ! さぁお前達、やっておしまい!」

 ここまでペラペラと全て話してくれるとは思わなかった。この女、やっぱりアホだな。私は呆然としているイアン様の手を握って亜空間に引き込んだ。

「えっ!? ここは!?」

「私が作った亜空間の中です。見て下さい」

 私は亜空間の一部を可視化した。

「私達がいきなり消えたんで、右往左往している様子が良く分かるでしょう? 特にミネルバの顔を見て下さいよ。土壇場で私達を取り逃がしたんで、鬼のような形相になってますよ?」

「これが空間魔法...」

「えぇ、そうです。イアン様、私はこれからあの連中を拘束して来ますんで、しばらくここで待っていて下さいね。ここに居れば安全ですから」

「あ、あぁ、分かった...」

 それから私はミネルバの配下を一人また一人と亜空間へ放り込んで行った。最後に残ったミネルバは、念のためバインドロープで拘束してから亜空間に放り込んだ。

 その際、なんかごちゃごちゃ言ってたけど、聞きたいことは全部聞いたんで丸っと無視した。

 これでやっとミネルバとの因縁から開放された。

 その時だった。ホッとした私の耳になにやら騒がしい物音が聞こえて来たのは。

 物音は離宮の方角から聞こえて来る。

 嫌な予感がした私は、思わず駆け出していた。
 

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