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マジックキャンセラー
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「フン、もうそんな時間か。仕方ないな、行くか。おいアクセル、せいぜいそこの美人の護衛に嫌われないようにすることだな」
そんな捨て台詞を残してアッシュ殿下は去って行った。姫君達は、
「「 べぇ~だ! 」」
と、舌を出すタイミングまでピッタリ揃ってる! 凄いな! いやそんなことより...
「アクセル様、こちらもそろそろお時間の方が...」
そう言ってアクセル様を促す。早目に相談しておきたいことがあるからだ。
「あ、あぁ、そうだな...済まんお前達、これから仕事なんだ」
「「えぇ~! お兄様もう行っちゃうの~! 」」
姫君達には悪いけど、アクセル様にはまた今度ゆっくり時間を取って貰うことにしよう。
◇◇◇
アクセル様の執務室に戻った私は、矢も盾も堪らずアクセル様に告げた。
「アクセル様! ヤバいです! あの護衛!」
「護衛!? 兄上のか!?」
「はい! あのヒョロっとした男、あれはきっとマジックキャンセラーです!」
「マジック!? なんだって!?」
「マジックキャンセラー! 全ての魔法を無効化するヤツです!」
「全ての...じゃあカリナの魔法も!?」
「はい! しっかりと消されました! あんなこと初めてです!」
「そうか...兄上は魔法が苦手だからな。魔法による攻撃を防ぐために、そういう護衛を選んだんだろう。それに何か問題があるのか?」
「大有りです! 人がせっかく鳥のフンそっくりに作ったモノを、あのいけ好かないアッシュ殿下の頭の上から落とそうとしたのに! それを消されたんですよ! 悔しい~!」
自信作だったのにぃ!
「ちょ、ちょっと待て! カリナ、お前そんなことしようとしてたのか!?」
「はい! だってアクセル様をバカにされてムカついたんですもん!」
「...気持ちは嬉しいが二度とやるな...」
「え~! そんなぁ!」
「え~じゃない! もしバレたらどうする!?」
「大丈夫ですよ~♪ 元実家に居た頃、あんまりムカついたんで、みみっちい仕返しとして何度もやってました~♪ 一度もバレなかったですよ~♪ 色といい質感といい匂いといい本物そっくりなフンを」
「その話はもういいから!」
「ぶ~ぶ~!」
せっかく改良に改良を重ねた話をしようと思ったのにぃ!
「はぁ...とにかく兄上に手出しは無用だ。いいな?」
「...分かりました」
渋々とだけどね...
「ところでそのマジックキャンセラーだったか? カリナの空間魔法と同じくらい珍しいのか?」
「そうみたいです。私も詳しくは知りませんが、希少な魔法であることは確かなようです」
「...念のために聞くんだが、カリナだったら倒せそうか?」
「さぁ...戦ってみないことにはなんとも...あっ! もしかしてアッシュ殿下を暗殺して来いってことですか? それなら全力で」
「違うから! 物騒なこと考えるな!」
なんだ残念...ホントはアクセル様だって分かってるはずなのに。私のこの能力は守ることよりも暗殺の方が向いてるってことを。
そんな捨て台詞を残してアッシュ殿下は去って行った。姫君達は、
「「 べぇ~だ! 」」
と、舌を出すタイミングまでピッタリ揃ってる! 凄いな! いやそんなことより...
「アクセル様、こちらもそろそろお時間の方が...」
そう言ってアクセル様を促す。早目に相談しておきたいことがあるからだ。
「あ、あぁ、そうだな...済まんお前達、これから仕事なんだ」
「「えぇ~! お兄様もう行っちゃうの~! 」」
姫君達には悪いけど、アクセル様にはまた今度ゆっくり時間を取って貰うことにしよう。
◇◇◇
アクセル様の執務室に戻った私は、矢も盾も堪らずアクセル様に告げた。
「アクセル様! ヤバいです! あの護衛!」
「護衛!? 兄上のか!?」
「はい! あのヒョロっとした男、あれはきっとマジックキャンセラーです!」
「マジック!? なんだって!?」
「マジックキャンセラー! 全ての魔法を無効化するヤツです!」
「全ての...じゃあカリナの魔法も!?」
「はい! しっかりと消されました! あんなこと初めてです!」
「そうか...兄上は魔法が苦手だからな。魔法による攻撃を防ぐために、そういう護衛を選んだんだろう。それに何か問題があるのか?」
「大有りです! 人がせっかく鳥のフンそっくりに作ったモノを、あのいけ好かないアッシュ殿下の頭の上から落とそうとしたのに! それを消されたんですよ! 悔しい~!」
自信作だったのにぃ!
「ちょ、ちょっと待て! カリナ、お前そんなことしようとしてたのか!?」
「はい! だってアクセル様をバカにされてムカついたんですもん!」
「...気持ちは嬉しいが二度とやるな...」
「え~! そんなぁ!」
「え~じゃない! もしバレたらどうする!?」
「大丈夫ですよ~♪ 元実家に居た頃、あんまりムカついたんで、みみっちい仕返しとして何度もやってました~♪ 一度もバレなかったですよ~♪ 色といい質感といい匂いといい本物そっくりなフンを」
「その話はもういいから!」
「ぶ~ぶ~!」
せっかく改良に改良を重ねた話をしようと思ったのにぃ!
「はぁ...とにかく兄上に手出しは無用だ。いいな?」
「...分かりました」
渋々とだけどね...
「ところでそのマジックキャンセラーだったか? カリナの空間魔法と同じくらい珍しいのか?」
「そうみたいです。私も詳しくは知りませんが、希少な魔法であることは確かなようです」
「...念のために聞くんだが、カリナだったら倒せそうか?」
「さぁ...戦ってみないことにはなんとも...あっ! もしかしてアッシュ殿下を暗殺して来いってことですか? それなら全力で」
「違うから! 物騒なこと考えるな!」
なんだ残念...ホントはアクセル様だって分かってるはずなのに。私のこの能力は守ることよりも暗殺の方が向いてるってことを。
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