空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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養子縁組

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「カリナ、今日は来客がある。大事なお客さんだからそのつもりでいてくれ」

 その日の朝、執務室でアクセル様にそんなことを言われた。

「はぁ...分かりました」

 良く分からないがそう答えておいた。まぁ、私のお客って訳じゃなく、アクセル様のお客なんだから、側に付いてる私に粗相するなよって意味なんだろうな。そう解釈したんだが...

「じゃあ、早速ドレスに着替えてくれ」

「へっ!? な、なんで私が!?」

「今に分かる」

 そう言ってアクセル様が指を鳴らすと侍女軍団が現れた。呆然としてる間に、私は侍女軍団にドナドナされて行ったのだった...あ~れ~...


◇◇◇


 髪までしっかりセットされ、薄い化粧まで施された私は、久し振りのドレス姿にどうも落ち着かない。最近はずっと騎士服だったからね。

 やがて時間になりアクセル様と共に客間へ行くと、そこには品の良い感じの老夫婦が待っていた。私達が近付くと立ち上がり挨拶する。

「カリナ、こちらはフォーサイス元伯爵ご夫妻だ。フォーサイス伯、こちらがカリナだ。よろしく頼む」

「ふぉっふぉっふぉっ、これはこれは可愛らしいお嬢さんですな」  

「えぇえぇ、本当に。素敵な方ですわ。これからよろしくお願いしますわね」

「あ、あの、アクセル様。これは一体...」

「これからカリナの養父母になられる方達だ。ほら、ちゃんとご挨拶しなさい」

「ほぇっ!?」

 思わず変な声出ちゃったよ! いくらなんでもいきなり過ぎるでしょ!? せめて事前に説明くらいしといてよ!

「前に約束した命を救って貰ったお礼の一つだ。言ったろ? 貴族の身分を用意するって」

「そりゃ確かにおっしゃいましたけど...」

 寝耳に水だよ!

「この方達にはカリナの境遇を説明してある。とても同情してくれてな。是非とも自分達の娘にと言って下さったんだ。家格もカリナの元の身分と同じ伯爵位だしな。カリナも満足してくれると思ったんだ。どうだろうか?」

「...とても有難いお話ですけど、私なんかで本当にいいんでしょうか...」

「もちろんですとも! 儂らは既に息子に家督を譲って引退した身ですから、娘というより孫という扱いになると思いますが、それでよろしければ是非とも!」

「私達は孫娘が居ませんから、あなたが孫になってくれるなら大歓迎なんですよ! 是非に!」

 夫婦揃ってそう言われちゃ断れないよね...それにもう外堀は埋められてるみたいだし...

「あの...私でよろしければ...よろしくお願い致します...」

「「 こちらこそ! 」」

「おめでとう、カリナ! 今日から君は、カリナ・フォーサイス伯爵令嬢だ!」

 ...アクセル様、なんだかとっても良い笑顔ですね...

 こうして私はまた貴族を名乗ることになった。

 どうでもいいけど平民だった期間って短か過ぎじゃね?

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