空間魔法って実は凄いんです

真理亜

文字の大きさ
上 下
39 / 462

尋問

しおりを挟む
 近衛騎士団の詰所に着いた私は、カイル様とアラン様に事の次第を説明した。

「なんと! 我が近衛騎士団に裏切り者がおっただと!? なんということだ...」

 するとカイル様は打ち拉がれてしまった...アラン様はというと、

「カリナの判断は正しい。ただ集団自決はせずとも昨日のあの男のように、自決用の毒を自ら仕込んでいるかも知れん。だとすれば結局のところ今頃は...」

「いえ、それは大丈夫みたいです」

「へっ!?」

「5人の内、3人はどこかに出口がないか探し回っていますし、残りの2人は膝を抱えて座り込んでいます。全員生きてますよ?」

「なんで分かるんだ!?」

「だってずっと見てますもん」

 あの男に自決されちゃった時、見てなかったんだよね...グルグル巻きにされてたから、見てる必要もないと思ってたんだ。

 まぁでも結局のところ、たとえ見てたとしても奥歯に仕込んだ毒じゃ止められなかったとは思うけどね...そうは言っても気分の問題だよ。だから今回はずっと監視してるんだ。
 
「そ、そうなのか...」

「どうします? 1人ずつ取り調べ室に出しますか? 全員抜刀してて危険なので、出す時は後頭部を強打して昏倒させる必要がありますけどね」

「そうだな...」

 アラン様が考え込むと、復活したらしいカイル様が、

「カリナ、ちょっと待っててくれ。バインドロープを人数分持って来るから」

 そう言って駆け出して行ってしまった。私はアラン様に尋ねる。

「バインドロープってなんですか?」

「凶悪犯を殺さずに捕らえるため開発された魔道具だ。ロープ自体に魔法が掛かっていて、投げ付けるだけで自動的に犯人を拘束してくれるという優れものだ」 

「へぇ~ そんな便利な道具があるんですね~」
 
 私が感心していると、ロープを抱えたカイル様が戻って来た。

「待たせたな。カリナ、このロープを1本ずつ賊に掛けてみてくれ」

「分かりました。ちょっと行って来ますね」  

 そう言って私は亜空間に潜った。まずは賊の1人目。後ろに回ってそっとバインドロープを投げてみる。するとロープはまるで生き物のような動きで、あっという間に賊をグルグル巻きにしてしまった。凄いね!

 この要領で5人全員を捕縛した私は、昨日と同じ取り調べ室に全員を放り出した。ちょうどその時、アクセル様がやって来た。

「ご苦労さん。コイツらか」

 アクセル様は賊どもを見下ろしてこう告げた。

「貴様らがベルザード家の手の者だということは調べが付いてる。じゃなきゃそう簡単に近衛騎士の騎士服なんて手に入らないだろうし、王宮に入り込ものも難しいだろうからな。どうだ? ここで素直に白状すれば、情状酌量を考えてやらんこともないぞ?」

 私はアラン様にコソッと耳打ちする。

「ベルザード家って?」

「ミネラル嬢の実家だ」

 なるほどねぇ。だから狙われたのは私だったんだ。

「どうだ? 白状する気になったか? 答えろ。誰に指示された?」

 賊どもの顔色は真っ青になってる。こりゃ白状するのも時間の問題かな?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

目覚めれば異世界!ところ変われば!

秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。 ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま! 目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。 公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。 命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。 身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

処理中です...