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カリナの邂逅

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 ミネルバを追い払って、やっと笑いが収まったアクセル様が私に告げる。

「午後からは孤児院に慰問に行くからそのつもりでいてくれ」

「孤児院ですか...フフッ」

「ん? どうした?」

「あぁ、いえいえ。すいません、ちょっと昔を思い出しまして」

 思い出し笑いってヤツよん。

「というと?」

「昔、元実家に居た頃なんですが、私も良く孤児院へ慰問に行ってたんですよ」

 貴族の義務だからね。なんつったっけ? あぁそうそう、ノブレス・オブリージュだっけ。
 
「そうだったのか」

「えぇ、その時にですね、私って同年代の中でも昔から背が高かったので、明らかに私と同年代か1つ2つ歳上ぐらいの子供達から『お姉ちゃん』って呼ばれてしまって...フフッ、くすぐったいような何とも言えない気分になったのを思い出しました」

 懐かしい思い出だよねぇ。あの子達みんな元気でやってるかなぁ?

「なるほどなぁ、まぁそれも無理ないか」

「えぇ、一緒に行った元婚約者もそう言って笑ってました」

「なにぃ!? 婚約者だとぅ!? 婚約者が居るのかぁ!? 聞いて無いぞぉ! どぉして言わなかったぁ!」

 うわぉ! なんだかアクセル様の食い付きが凄いんですけど!? どうしちゃったの一体!? 私なにか変なこと言った!?

「あ、あの...元ですよ!? 元。今は婚約してませんよ!? とっくに解消されてるはずですし、特に言う必要も無いかと思って...」

「はず!? はずってことはちゃんと確認して無いってことか!?」

「え、えぇ、まぁ...その前に国を出ちゃいましたし...」

 な、なんかアクセル様の顔が怖いんですけど...ホントにどうしちゃったの!?

「なんてことだ...」

 今度は頭抱えちゃったよ...大丈夫!?

「あ、あの...婚約者と言っても歳が離れてますし、きっと私のことは妹みたいに思っていたと」

「そんな訳あるかぁ!」

「ぴぎっ! 」

 び、ビックリしたぁ! 思わず変な声出ちゃったよ!

「あっ!...大声出してスマン...」

「い、いえ...」

「コホン、そ、それでカリナとは何歳離れていたんだ?」

「5歳です」

「...俺と同い年か...断言しよう、カリナ。その婚約者は君のことを妹だなんて思っていなかったはずだ」

「そ、そうなんでしょうか...」

「あぁ、間違いない...俺がそうなんだからな...」

「えっ!? 今なんて!?」

 最後の方、声が小さくて聞き取れなかったよ。

「...なんてことだ...こうなったら多少強引にでも事を進めて...」

 なんだかブツブツ呟き出したアクセル様。良く聞こえないけど、不穏な言葉を発しているような!? き、気のせいだよね!?

 それにしても、なんでイアン様のことをそんなに気にすんのかな? きっとイアン様は私のことなんか忘れて、今頃は別の人と上手くやってるはずだよ。それを思うとちょっぴり胸が苦しくなるけど、こればっかりはしょうがないよね...

 この時の私は、まさかイアン様が私のことを探しにこの国まで来ているだなんて夢にも思ってなかった。
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