空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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隣国に到着

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「やっと着いた! ここがオスマルク王国かぁ!...ってなんもないじゃん!」

 思わずセルフ突っ込みをかましてしまった。だってさぁ、だだっ広い平原が見渡す限り続いてるだけなんだもん。そう言いたくなるじゃんか! どうなってんだ!? 文明どこ行った!?

 はぁ...嘆いてても仕方ない。取り敢えず歩くか。太陽の位置からして南はあっちだな。南に向かって歩きゃどっかに着くだろ。知らんけど。

 こんなことになるんなら、隣国の情報をもっとちゃんと調べておくんだったなぁ...いや少しは調べたんだよ? これからの時期、寒さが厳しくなる隣国に行く人はあんまり居ないって。

 だからほら、私以外誰も居ない。人に聞くことも出来ない。ハハッ! 使えない情報に笑うしかない。いったん戻ろうかな...戻って地図でも買うか人に聞いて情報集めて、あ、あと馬も要るな。歩きじゃ日が暮れるわ。

 その時だった。

「ウォォォン!」

 狼の遠吠えが私の進行方向の前方から聞こえた。思わず周囲を警戒する。だが周りは何も無い草原が広がっているだけだ。と、良く見ると前の方に丈の長い草が密集している場所がある。

 私はそっと近付いてみた。すると風に乗って僅かに漂って来るこの匂いは...血? そして微かに聞こえるのは...人の声? 誰かが狼に襲われてる? 私は急いで草の中に分け入った。


◇◇◇


 私は血の匂いと声を頼りに歩を進める。狼に警戒するのも忘れない。しばらく草をかき分けて進むと、居た! 人が倒れてる。私は急いで駆け寄る。若い男性のようだ。

「大丈夫ですか!?」

「うぅ...」

 どうやら腕と足を狼にやられたらしい。特に足の出血が酷い。早く止血しなければ出血死するだろう。私は亜空間から血止め薬と包帯を取り出そうとして手を止める。

「グルルル!」

 どうやら狼に囲まれたらしい。ここでは治療できない。私は男性の体に触れ魔法を発動させる。

 亜空間転移発動!

 私が触れていれば誰でも亜空間に引き込むことが出来る。狼達は私達が居た場所で右往左往している。獲物がいきなり消えたんで、さぞやビックリしていることだろう。

 そんな狼達を尻目に、私は男性の治療を開始する。

「ちょっと滲みるけど我慢して下さいね?」

 まずは出血の酷い足から始める。血止め薬を取り出してぶっかける。

「ぐおっ!」

 あ~...傷が結構深いから相当滲みるよねぇ...でも男なら我慢我慢! 死にたくないでしょ? 何度か薬を追加してやっと出血が止まったみたいだ。

 私は包帯を取り出して男性の足に巻いていく。その頃になってようやく男性も落ち着いたみたいだ。周りをキョロキョロ見回した後、私に視線を向ける。

「君は? ここは?」

「私は旅行者。ここは私の魔法で作った亜空間の中。あなたを助けます」

 男性は目を丸くした。
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