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「フゴゥウ...ガアァ...ムニャムニャ...グヘヘ...もう食べられないよぉ...」
捜索隊一行は、山の麓に待機させておいた馬車に乗り一息付いていた。ライラは馬車に乗るなり、疲れからか爆睡モードに入った。イビキを掻きながら寝言を呟いている。
そんなライラの姿を、ミハエルは安堵したような表情を浮かべながら微笑ましく見守っていた。
「殿下、そろそろ王都に到着します。まずはどちらに向かわれますか?」
騎士団長のライアンがミハエルの側に来てお伺いを立てた。
「そうだな...」
ミハエルはちょっと考えた後、ライラの寝顔を見詰めながら、
「後宮に向かってくれ。ライラの無事を他の候補者達に知らせてあげたい」
「分かりました」
馬車は後宮へと向かって走り続けた。
◇◇◇
『ライラさん! よくぞご無事で!』
先触れを出していたので、候補達全員がライラの出迎えに馳せ参じた。
「あ、ありがとうございます...すいません...ご心配をお掛けまして...」
『とんでもない! ライラさんが無事ならそれで!』
「は、はぁ...ど、どうも...」
ずっとハモッてる三人の勢いにライラはちょっと引いた。
「みんな、気持ちは良く分かるがライラはまだ病み上がりの身だ。少し休ませてやってくれないか?」
見かねたミハエルが割って入った。
『そうですね! ライラさん、お大事に!』
最後までハモッていた三人だった。
◇◇◇
その後、食堂に全員を集めてミハエルが事の次第を説明した。ライラは医務室で休んでいる。
黙って聞いていた三人の内、まずは一番の上位者であるミシェルが口を開いた。
「ミハエル殿下、私は候補者を辞退させていただきます」
「私も辞退します」
ソニアが続いた。
「...」
既に態度を表明しているファリスのみ無言だった。
「そうか...君達にも迷惑を掛けて済まなかった...自分達の領地に戻ってゆっくり休んで欲しい...」
そう言ってミハエルは頭を下げた。
「頭をお上げください、ミハエル殿下。王族の方が臣下の者に向かって軽々しく頭を下げてなりません」
すぐにミシェルが嗜める。
「ミハエル殿下、私達は謝罪をして欲しい訳ではありません。どうかライラさんを幸せにしてあげてください。それだけが私達の望みです」
ソニアも諭すようにそう言った。
「君達、ありがとう...必ずライラを幸せにすると誓うよ...」
ミハエルは晴れやかな笑顔を浮かべた。
「良かった...」
それを黙って見詰めていたファリスは、心から安堵したようにそっと呟いた。
捜索隊一行は、山の麓に待機させておいた馬車に乗り一息付いていた。ライラは馬車に乗るなり、疲れからか爆睡モードに入った。イビキを掻きながら寝言を呟いている。
そんなライラの姿を、ミハエルは安堵したような表情を浮かべながら微笑ましく見守っていた。
「殿下、そろそろ王都に到着します。まずはどちらに向かわれますか?」
騎士団長のライアンがミハエルの側に来てお伺いを立てた。
「そうだな...」
ミハエルはちょっと考えた後、ライラの寝顔を見詰めながら、
「後宮に向かってくれ。ライラの無事を他の候補者達に知らせてあげたい」
「分かりました」
馬車は後宮へと向かって走り続けた。
◇◇◇
『ライラさん! よくぞご無事で!』
先触れを出していたので、候補達全員がライラの出迎えに馳せ参じた。
「あ、ありがとうございます...すいません...ご心配をお掛けまして...」
『とんでもない! ライラさんが無事ならそれで!』
「は、はぁ...ど、どうも...」
ずっとハモッてる三人の勢いにライラはちょっと引いた。
「みんな、気持ちは良く分かるがライラはまだ病み上がりの身だ。少し休ませてやってくれないか?」
見かねたミハエルが割って入った。
『そうですね! ライラさん、お大事に!』
最後までハモッていた三人だった。
◇◇◇
その後、食堂に全員を集めてミハエルが事の次第を説明した。ライラは医務室で休んでいる。
黙って聞いていた三人の内、まずは一番の上位者であるミシェルが口を開いた。
「ミハエル殿下、私は候補者を辞退させていただきます」
「私も辞退します」
ソニアが続いた。
「...」
既に態度を表明しているファリスのみ無言だった。
「そうか...君達にも迷惑を掛けて済まなかった...自分達の領地に戻ってゆっくり休んで欲しい...」
そう言ってミハエルは頭を下げた。
「頭をお上げください、ミハエル殿下。王族の方が臣下の者に向かって軽々しく頭を下げてなりません」
すぐにミシェルが嗜める。
「ミハエル殿下、私達は謝罪をして欲しい訳ではありません。どうかライラさんを幸せにしてあげてください。それだけが私達の望みです」
ソニアも諭すようにそう言った。
「君達、ありがとう...必ずライラを幸せにすると誓うよ...」
ミハエルは晴れやかな笑顔を浮かべた。
「良かった...」
それを黙って見詰めていたファリスは、心から安堵したようにそっと呟いた。
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