王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「ライラっ!」

 捜索隊の斥候員から発見という報を受け取ったミハエルは、矢も盾も堪らず大急ぎで難所へと駆け付けた。

 するとそこにはグッタリと体を傾けているライラを、斥候員達が介抱している様子が見て取れた。

 ミハエルは斥候員達を押し退けるようにしてライラを抱き上げた。

「ライラっ! しっかりしてくれっ! ライラっ!」

 ライラは朧気な意識の中で『あぁ、来てくれたんだ...』とホッと胸を撫で下ろした。それで安心したのか、ミハエルの温もりに抱かれたまま意識を失った。

「殿下っ! どうか落ち着いてくださいっ! あまり揺らしたりなさいませんようにっ!」

 斥候員達に注意されてようやくミハエルは我に返った。良く見るとライラはあちこち怪我をしていて出血もしているようだ。

「衛生兵っ! 衛生兵を呼べっ!」

 斥候員の一人が大声で呼び掛けた。


◇◇◇


「どうだ!? 怪我の具合は!? どんな感じなんだ!?」

 ライラは急拵えで設置された簡易救護テントの中で治療を受けていた。ミハエルはライラを診ている衛生兵をせっついた。

「後頭部の怪我が一番酷いようですが、幸いなことに出血は収まっているようです。ただやっぱり頭部の怪我ですので、あまり動かさずに安静第一ということになりますね。内出血の恐れがありますから」

「そうか...」

 ミハエルはさっきうっかり抱き上げてしまったことを後悔していた。

「その他には軽い脱水状態になっているみたいですので、運ぶ前にここで点滴を打っておこうと思います」
  
 そう言うと衛生兵は、簡易点滴パックを取り出してライラに点滴を施し始めた。

「点滴が終わるまで30分ほどお待ちください」

「分かった...よろしく頼む...」

 名残惜しいが、捜索隊の指揮官としての残務処理が残っているので、ミハエルは後ろ髪を引かれつつ救護テントを後にした。

「殿下...どうやら一人残らず崖下に転落してしまったようです...」

 騎士団長のライアンが悄然とした表情でそう報告した。

「そうか...ちなみに崖の下はどうなっているんだ!?」

「流れの早い川に繋がっております。川の先には滝が待ち構えておりますな」

「なるほど...」

 ミハエルとしては万が一助かる可能性があるかもと危惧していたが、どうやらその怖れはなくなったようでちょっとだけホッとした。

「殿下、このような遺留品が...」

 次に近衛騎士団長のグレイがなにやらメダルのような物を持って来た。

「これは...王家の紋章か...」

 ライラがマクシミリアンを羽交い締めにした時に落ちたのだろう。それは王族しか持つことが許されない紋章だった。
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