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 一方その頃、ミハエルを筆頭とした捜索隊一行はといえば...

「お、おい! ら、落石注意って書いてあるぞ!?」

「ほ、ホントだ! や、ヤバいんじゃないのか!?」

 ルイス達の仕掛けた罠にまんまと引っ掛かっていた。

「で、殿下! この道は危険です! 引き返しましょう!」

 騎士団長が血相変えてそう進言して来た。

「バカなことを言うな! ヤツらを逃がしてしまうだろうが! 落石なんかそうそう起きたりするもんじゃない! 恐れずに先へ進むんだ!」

 ミハエルは激昂した。こうしてる間にもライラが遠くへ行ってしまうと思うと、気が気ではいられなかったのだ。

「な、なりません! 御身になにかあったら取り返しがつかないんですぞ! どうかご自重くだされまし!」

 騎士団長も一歩も引かない構えだ。議論は堂々巡りになりそうだった。

「ちょっと待ってくれ、ライアン」

 そこに近衛騎士団長が割り込んだ。ちなみにライアンというのが騎士団長の名前である。

「なんだぁ!? グレイ、貴様は引っ込んでおれ!」

 騎士団長が気色ばむ。ちなみにグレイというのが近衛騎士団長の名前である。実はこの二人、同期の桜だったりする。

「いいからちょっと聞け! 以前このルートを調査した時にはこんな看板なんてなかった。ヤツらが仕込んだものかも知れない」

 さすがは近衛騎士団長。グレイは見事に核心を突いたのだが、

「ふんっ! 近衛のへなちょこな記憶なんてアテになるもんかっ! どうせロクに調査なんかしてないから見逃したんだろうよ?」

「なんだとぉっ!?」

 ライアンのあんまりなセリフに、今度はグレイの方も気色ばんでしまった。

「なんだっ!」

 騎士団と近衛騎士団の確執が、こんな場面でお互いの足を引っ張ってしまっていたのだった。

「お前達っ! いい加減にしないかっ!」

 イライラの頂点に達したミハエルが二人を叱り飛ばした。

「とにかく先に進むんだっ! 騎士団長、付いて来たくなければお前達騎士団はここで引き返せっ! 近衛騎士団長、行くぞっ!」

 ミハエルは一人スタスタと先に進んで行ってしまった。

「は、はいっ!」

「そ、そんなぁ!? で、殿下~! お、お待ちくださ~い!」

 こうしたすったもんだがありながらも、捜索隊一行はなんとか先に進んだのだが...

「お、おいっ! 登ると危険らしいぞ!? どんな危険が待ってんだよ!?」

「ひ、引き返すなら今だって!? 引き返してぇ~!」

「お母ちゃ~ん! ごめんよ~! 今度の休みには帰るからなぁ~!」

 その後も面白いように罠に引っ掛かかり、なかなか先に進めない一行なのだった。
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