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 ライラは昼食の席にも顔を見せなかった。ちなみにミハエルの姿も無い。まぁ、これはいつものことだが。

「やっぱりおかしいです...皆さん、もう一度ライラさんの部屋に行ってみませんか?」

 食堂に集まった三人を代表してファリスがそう言った。

「そうね...いくらなんでも寝過ぎだわ...ちょっと心配になるわね...」

「もしかしたら...体調を崩していらっしゃるのかも知れませんよね...それこそベッドから起き上がれないくらいに...」

 ソニアに続き、ミシェルまでもがそんな不穏なことを言うもんだから、顔を見合わせた三人は次の瞬間、誰からともなく走り出していた。

「ライラさん! 開けてください! 大丈夫なんですか!?」

「返事をして! ライラさん!」

「ライラさん! ライラさん! ライラさーん!」

 ライラの部屋に着いた三人は口々に叫びながら、ドンドンッ!っと激しくドアを叩いた。だが相変わらず部屋の中からはなんの反応もなかった。

「ど、どうしましょう...」

 ファリスが頭を抱えた。

「ファリスさん、落ち着いて! まずは鍵を開けないと! 部屋の合鍵って誰が持ってんの!?」

 それを見たソニアはちょっとだけ冷静になれた。

「分かりませんが、まずはミハエル殿下に聞いてみましょう!」

 ミシェルも少し落ち着くことが出来た。

「どうしたんだ!?」

 騒ぎを聞き付けたのか、そこにミハエルがやって来た。

「ミハエル殿下! ライラさんが! ライラさんが! 部屋から出て来ないんです!」

「朝食どころか昼食の席にも姿を見せないんです! これはなにかあったのかも知れません!」

「ミハエル殿下! 鍵を! この部屋の合鍵を急ぎお願いします!」

 三人は口々に訴えた。

「分かった! 待っていろ!」

 言うが早いか、ミハエルは全速力で駆け出して行った。


◇◇◇


「合鍵を持って来たぞ! そこを空けてくれ!」

 息を乱しながら戻って来たミハエルは、未だに部屋のドアを叩きライラに呼び掛けている三人に向かって叫んだ。

 三人が場所を空け、ミハエルが合鍵を使ってドアを開ける。

「ライラ! 大丈夫か!?」

「ライラさん! ライラさん!」

「ライラさん! どこに居るの!?」

「ライラさん! ご無事ですか!?」

 四人は部屋の中に雪崩れ込んだが、そこにライラの姿はなかった。ベッドはキレイなままで使った形跡はなかった。

 机の上には書きかけの原稿が置いてある。

「ライラ! どこだ!?」

「ライラさん!」

「居たら返事して!」

「ライラさーん!」

 四人はそれぞれ、ウォークインクローゼットの中や洗面所、果てはトイレの中まで見て回ったが、ライラの姿はどこにもなかった。

「ライラさん...どこ行っちゃったの...」

 ファリスは力なくその場にへたり込んでしまった。

 

 
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