王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「それは?」

「ま、まぁそのぉ~...さ、ささいな行き違いと言うか...」

 ミハエルはライラと同じ女であるソニアに対し、真実を伝えると言うことはとてもじゃないが憚られてしまったので言葉を濁すしかなかった。

 自業自得であるため致し方ない。

「なんだかハッキリしませんねぇ~」

 当然ながらソニアは不満そうだ。

「ま、まぁそれはともかくだな...ソニア嬢が協力と言うか後押ししてくれると言うのはとても助かる。その調子でどんどんライラを焚き付けてくれ」

「えぇ、もちろんそのつもりです...んん!? ライラ!? まさかの呼び捨て!?」

 ミハエルとしては話を逸らすために振った話題だったが、思わずライラのことを親しげに呼んでしまったことで、ソニアの興味を引いてしまったようだ。

 慌てて口を塞ぐが既に後の祭りである。

「い、いやその...ま、まぁ...つ、つい本音が...」

 最早ミハエルはボロボロであった。

「本音って...なんかもうラブラブな雰囲気なんじゃないんですか?」

 ソニアは年相応な恋愛脳の女の子のような表情を浮かべて揶揄った。

「...だといいんだがな...」

 ミハエルは自嘲気味に苦笑した。

「そんなお二人が気まずくなるなんて...ホントに一体なにがあったんです?」

「だ、だからそれは...」

 結局元に戻ってしまった。ミハエルは頼むからこれ以上触れないでくれと願った。

「ハァ...まぁ、おっしゃりたくないんならそれでいいですが...その件がライラさんを焚き付けるにあたって、地雷を踏むようなことになったりはしませんよね?」

「それは大丈夫...だと思う...」

 ミハエルはちょっと自信無さげにそう言った。

「ならいいです。私は私のやり方でお二人をくっ付けようと動きますから」

「あぁ、それでいい。よろしく頼む」

 紆余曲折あったにせよ、これでミシェル、ソニア、ファリスの三人をこちらの陣営に引き寄せることに成功した。

 ライラを完全包囲する態勢が整ったことで一先ず良しとしよう。ミハエルは心の中でほくそ笑んでいた。


◇◇◇


 ソニアとの個人面談を終え、執務室に戻ったミハエルを騎士団長が待ち構えていた。

「騎士団長、どうした?」

「隣国が不穏な動きを見せております」

 さっきまでの弛緩した雰囲気が一変し、ミハエルは険しい表情を浮かべた。

「ラングレー公が捕まったことに勘付いたか?」

「どうやらそのようです」

「向こうさんとしても、ラングレー公にペラペラと白状されては都合の悪い輩が居るってことだな」

「えぇ、なにせ密輸に関することですからね」

「ラングレー公回りの警備を強化しろ。消されては堪らん」

「分かりました」
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