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 午後になってソニアの個人面談の時間が近付いて来た。

 ソニアは若干緊張しながらミハエルの執務室に向かっていた。

「失礼致します」

 ドアをノックして入室する。

「あぁ、ソニア嬢。良く来てくれた。ささ、座って座って」

 ミハエルは立ち上がってソファーの方を指差した。

「はい、では失礼して」

 ソニアがソファーに座ると同時に、メイドさんがサッとお茶を入れて来た。

「では早速始めようか」

 ミハエルはソニアの対面に座った。

「はい、よろしくお願い致します」

「合宿も残り少なくなって来た訳だが正直どうだった? 忌憚の無い意見を聞かせて欲しい。ソニア嬢個人に関しては色々とあった訳だが、その点も踏まえて答えてくれると嬉しい」

「そうですね...」

 ソニアは一旦、緊張で渇いた喉をお茶で潤してからこう続けた。

「私個人としましては、さっき殿下がおっしゃいました通り、命を狙われたりとかしましたから、刺激的なことが多かったかなという印象ですかね」

「そうだよな」

 ミハエルもお茶を飲みながら静かに頷いた。

「でもその分、有意義な時間であったとも言えます」

「ほう? その心は?」

「ライラさんと出会えたことです」

「あぁ、なるほど...」

「私はこれまでライラさんほど聡明な人に会ったことがありませんでした。レイチェルさんの犯行を見抜いたのは凄いと思います。まるで推理物のお芝居を見ているかのようでした」

「あれは確かに凄かったな」

 なんだか遠い昔の出来事であるかのような錯覚を覚えるが、実はまだあの事件から二ヶ月ほどしか経っていないのだ。

 それでもミハエルは、思い出しながらなんとなく懐かしさを感じてもいた。

「私自身もその謎解きに参加できたことを嬉しく思いますし、仇を討ってくれたことも嬉しかったです。それに命の恩人でもありますしね。ライラさんにはとても感謝しています」

「なるほど」

「私は、王妃という座にはライラさんのような人こそ相応しいと思っています。だからあれこれ画策して、どうにか殿下とライラさんをくっ付けようとしたんですが、肝心のライラさんにその気が無くて困ってます」

「あぁ、あれはそういうことだったのか」

 ソニアの行動を思い出したミハエルは心から納得した。

「えぇ、それになんだか最近は、お二人が余所余所しくしてるように感じられてちょっと不安になっています。なにかあったんですか?」

「そ、それはだな...」

 ストレートに聞いて来たソニアに対し、思わずミハエルは言葉に詰まってしまった。
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