114 / 171
114
しおりを挟む
「フゥ...」
その日の夜遅く、ミハエルは自分の執務室で大きなため息を一つ吐いていた。
実はついさっきまで、ラングレー公爵家の処遇を決めるための緊急閣議に出席していた。疲労困憊なご様子なのはそのためである。
「失礼致します」
そこに騎士団長が入室して来た。
「騎士団長か...遅くまでご苦労さん...」
「いやいや、それはお互い様じゃありませんか」
ミハエルの労いに騎士団長は苦笑で応えた。
「で? どうした?」
「はい、裏切り者がようやく口を割りました」
「そうか。随分粘ったな」
「えぇ、それだけ寄親のことを必死で守ろうとしたんでしょうね」
「その寄親は寄子のことを信じられずにあっさり白状したって言うのにな」
ミハエルも苦笑で応えた。
「全くですね」
「供述内容は?」
「はい、ヤツは予備の制服をラングレー公の手の者に渡したり、ドロシー嬢と外部との連絡係を務めたり、刺客の男を忍び込ませる手引きをしたりなどなど、今回の件で重要な役割を与えられていたそうです」
「あぁ、そこら辺は大体予想した通りだった。問題は動機なんだが...もしかしてラングレー公に脅迫でもされたりしてたんじゃないのか?」
「おっしゃる通りです。家族を人質に取られて従うより他なかったと」
「やっぱりそうか...ドロシー嬢の時と同じ手口だな...なんて卑劣な...」
ミハエルは吐き捨てるようにそう言った。
「全くですな...胸が悪くなります...」
騎士団長も顔を顰めた。
「だとすれば情状酌量の余地はあるだろう。騎士団長、近衛兵からの不名誉除隊くらいで勘弁してやれ」
「よろしいのですか?」
「罪が軽過ぎるか?」
「えぇ、いささか...他の隊員達の手前もありますし...」
「それもそうか...」
ミハエルはちょっと考え込んだ後、徐にこう続けた。
「だったら鉱山での強制労働にでも就けるか?」
「それなら良いと思います。ちなみに期間は如何ほど?」
「そうだな...半年くらいでいいんじゃないか?」
「妥当な線ですな。分かりました。そのように手配しましょう」
「頼む」
「ところで殿下、ラングレー公爵家はどうなるのか決まりましたか?」
「あぁ、お家はお取り潰し。ラングレー公は死罪。家族は長男と次男も死罪。夫人は修道院送りに決まったよ」
「そうですか...まぁ、事が事だけに致し方ないと言ったところですかね...」
「我が国としてはこれ以上無いくらいのスキャンダルだからな。厳しくしないと示しが付かんよ」
ミハエルは厳かに言い放った。
その日の夜遅く、ミハエルは自分の執務室で大きなため息を一つ吐いていた。
実はついさっきまで、ラングレー公爵家の処遇を決めるための緊急閣議に出席していた。疲労困憊なご様子なのはそのためである。
「失礼致します」
そこに騎士団長が入室して来た。
「騎士団長か...遅くまでご苦労さん...」
「いやいや、それはお互い様じゃありませんか」
ミハエルの労いに騎士団長は苦笑で応えた。
「で? どうした?」
「はい、裏切り者がようやく口を割りました」
「そうか。随分粘ったな」
「えぇ、それだけ寄親のことを必死で守ろうとしたんでしょうね」
「その寄親は寄子のことを信じられずにあっさり白状したって言うのにな」
ミハエルも苦笑で応えた。
「全くですね」
「供述内容は?」
「はい、ヤツは予備の制服をラングレー公の手の者に渡したり、ドロシー嬢と外部との連絡係を務めたり、刺客の男を忍び込ませる手引きをしたりなどなど、今回の件で重要な役割を与えられていたそうです」
「あぁ、そこら辺は大体予想した通りだった。問題は動機なんだが...もしかしてラングレー公に脅迫でもされたりしてたんじゃないのか?」
「おっしゃる通りです。家族を人質に取られて従うより他なかったと」
「やっぱりそうか...ドロシー嬢の時と同じ手口だな...なんて卑劣な...」
ミハエルは吐き捨てるようにそう言った。
「全くですな...胸が悪くなります...」
騎士団長も顔を顰めた。
「だとすれば情状酌量の余地はあるだろう。騎士団長、近衛兵からの不名誉除隊くらいで勘弁してやれ」
「よろしいのですか?」
「罪が軽過ぎるか?」
「えぇ、いささか...他の隊員達の手前もありますし...」
「それもそうか...」
ミハエルはちょっと考え込んだ後、徐にこう続けた。
「だったら鉱山での強制労働にでも就けるか?」
「それなら良いと思います。ちなみに期間は如何ほど?」
「そうだな...半年くらいでいいんじゃないか?」
「妥当な線ですな。分かりました。そのように手配しましょう」
「頼む」
「ところで殿下、ラングレー公爵家はどうなるのか決まりましたか?」
「あぁ、お家はお取り潰し。ラングレー公は死罪。家族は長男と次男も死罪。夫人は修道院送りに決まったよ」
「そうですか...まぁ、事が事だけに致し方ないと言ったところですかね...」
「我が国としてはこれ以上無いくらいのスキャンダルだからな。厳しくしないと示しが付かんよ」
ミハエルは厳かに言い放った。
26
お気に入りに追加
3,715
あなたにおすすめの小説

〖完結〗記憶を失った令嬢は、冷酷と噂される公爵様に拾われる。
藍川みいな
恋愛
伯爵令嬢のリリスは、ハンナという双子の妹がいた。
リリスはレイリック・ドルタ侯爵に見初められ、婚約をしたのだが、
「お姉様、私、ドルタ侯爵が気に入ったの。だから、私に譲ってくださらない?」
ハンナは姉の婚約者を、欲しがった。
見た目は瓜二つだが、リリスとハンナの性格は正反対。
「レイリック様は、私の婚約者よ。悪いけど、諦めて。」
断った私にハンナは毒を飲ませ、森に捨てた…
目を覚ました私は記憶を失い、冷酷と噂されている公爵、アンディ・ホリード様のお邸のベッドの上でした。
そして私が記憶を取り戻したのは、ハンナとレイリック様の結婚式だった。
設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全19話で完結になります。

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)

【完結】惨めな最期は二度と御免です!不遇な転生令嬢は、今度こそ幸せな結末を迎えます。
糸掛 理真
恋愛
倉田香奈、享年19歳。
死因、交通事故。
異世界に転生した彼女は、異世界でエマ・ヘスティア・ユリシーズ伯爵令嬢として暮らしていたが、前世と同じ平凡さと運の悪さによって不遇をかこっていた。
「今世こそは誰かにとって特別な存在となって幸せに暮らす」
という目標を達成するために、エマは空回りしまくりながらも自分なりに試行錯誤し続ける。
果たして不遇な転生令嬢の未来に幸せはあるのか。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています

なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる