王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「フゥ...」

 その日の夜遅く、ミハエルは自分の執務室で大きなため息を一つ吐いていた。
 
 実はついさっきまで、ラングレー公爵家の処遇を決めるための緊急閣議に出席していた。疲労困憊なご様子なのはそのためである。

「失礼致します」

 そこに騎士団長が入室して来た。

「騎士団長か...遅くまでご苦労さん...」

「いやいや、それはお互い様じゃありませんか」

 ミハエルの労いに騎士団長は苦笑で応えた。

「で? どうした?」

「はい、裏切り者がようやく口を割りました」

「そうか。随分粘ったな」

「えぇ、それだけ寄親のことを必死で守ろうとしたんでしょうね」

「その寄親は寄子のことを信じられずにあっさり白状したって言うのにな」

 ミハエルも苦笑で応えた。

「全くですね」

「供述内容は?」

「はい、ヤツは予備の制服をラングレー公の手の者に渡したり、ドロシー嬢と外部との連絡係を務めたり、刺客の男を忍び込ませる手引きをしたりなどなど、今回の件で重要な役割を与えられていたそうです」

「あぁ、そこら辺は大体予想した通りだった。問題は動機なんだが...もしかしてラングレー公に脅迫でもされたりしてたんじゃないのか?」

「おっしゃる通りです。家族を人質に取られて従うより他なかったと」

「やっぱりそうか...ドロシー嬢の時と同じ手口だな...なんて卑劣な...」

 ミハエルは吐き捨てるようにそう言った。

「全くですな...胸が悪くなります...」

 騎士団長も顔を顰めた。

「だとすれば情状酌量の余地はあるだろう。騎士団長、近衛兵からの不名誉除隊くらいで勘弁してやれ」

「よろしいのですか?」

「罪が軽過ぎるか?」

「えぇ、いささか...他の隊員達の手前もありますし...」

「それもそうか...」

 ミハエルはちょっと考え込んだ後、徐にこう続けた。

「だったら鉱山での強制労働にでも就けるか?」

「それなら良いと思います。ちなみに期間は如何ほど?」

「そうだな...半年くらいでいいんじゃないか?」

「妥当な線ですな。分かりました。そのように手配しましょう」

「頼む」

「ところで殿下、ラングレー公爵家はどうなるのか決まりましたか?」

「あぁ、お家はお取り潰し。ラングレー公は死罪。家族は長男と次男も死罪。夫人は修道院送りに決まったよ」

「そうですか...まぁ、事が事だけに致し方ないと言ったところですかね...」

「我が国としてはこれ以上無いくらいのスキャンダルだからな。厳しくしないと示しが付かんよ」

 ミハエルは厳かに言い放った。

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