王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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 その後、執務室に戻ったミハエルが仕事をしていると、午後になって部屋のドアがノックされた。

「殿下、失礼致します」

 騎士団長が入室して来た。

「どうだ? 吐いたか?」

 ミハエルは開口一番そう尋ねた。

「はい、少しずつではありますが、隣国との密輸に関して供述を始めております」

「取引のブツは違法薬物や麻薬の類いだったか?」

「はい、やはりこちらの見立て通りでした」

 ミハエルを初めとする王政側では、既にある程度の見立てを付けていた。それはここ最近、自国内に蔓延り始めている違法薬物...例えばファリスがミハエルを篭絡しようとして使った媚薬などである。これは主に富裕層の間で出回っていた。

 それともう一つ、コカインやヘロインと言った麻薬の類いである。これは主に中間層や貧困層を中心に出回っていて社会問題と化していた。

 それらの流入や蔓延を防止するために、王政側が秘密裏に捜査を進めた結果、行き当たったのがラングレー公爵家だったという訳である。

「そうか...フゥ...ようやくこれで一安心と言ったところだな...」

 ミハエルは椅子の背凭れに凭れてホッと息を一つ吐いた。

「お疲れ様でした」

「騎士団長もご苦労だった。引き続きよろしく頼む」

「分かりました」

 騎士団長が下がった後、ミハエルは自分の父親である国王と各閣僚に連絡を取り始めた。ラングレー公爵家の処遇をどうするか、緊急閣議を開いて決定するためである。


◇◇◇


 一方その頃、ライラはまたソニアに捕まっていた。

「絶対変よ! あんなにミハエル殿下が疲れ果ててるなんて! きっとなにかとんでもないことが起こったのよ! そうに違いないわ!」

「ハァ...そうなんですね...」

 熱弁を振るうソニアに、ライラはホトホトうんざりしながら仕方なく相手をしていた。

「ねぇライラさん、本当にミハエル殿下からなにも聞いてないの?」

「えぇ、全く」

「本当の本当に?」

「しつこいですね...」

 ライラは一応の礼儀として、露骨にイヤな表情を作らないようにしていたのだが、あんまりソニアがしつこく聞いてくるのでイライラし、ついにあからさまな嫌悪の表情を浮かべた。

「だって気になるじゃないのよぉ~」

 それに対してソニアはまるで駄々っ子のように唇を尖らせた。

「そんなに気になるなら、明日の個人面談で直接聞いてみればいいじゃないですか...」

「聞いても私には教えてくれないような気がするのよねぇ~」

「そんなの分かんないじゃないですか」

「なんとなく分かるのよぉ~...私はライラさんほどミハエル殿下に信用されていないって言うのが~...」

「私だって同じようなもんですって...」

 ライラはため息混じりにそう言った。

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