王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「う~ん...レイチェルさんと同じ手を使ったとか?」

 ライラはちょっと考えてからそう見解を述べた。

「いや、それはない。レイチェル嬢の件があってから、真っ先に全ての部屋を調べたからな。どこにも怪しい形跡はなかった」

「えっ!? いつ調べたんですか!?」

 身に覚えのなかったライラはビックリして問い返した。

「君達が習い事などで部屋を留守にしている間にだ」

「あぁ、そういうことですか...」

 納得したのかライラは軽く頷いた。

「それにレイチェル嬢の件、詳細は伏せてるからな。今となっては知っているのは僕達だけだ。他のみんなは誰も知らない」

「あ、そうですよね...となると別の方法ってことに...」

「そのはずなんだが、全く見当が付かないんだ。ドロシー嬢の部屋は特に念入りに調べさせたんだがな...」

「それってもしかして、レイチェルさんが事件を起こす前からですか?」

「あぁ、そうだ。なにせ密輸に関与してるのではないかと疑っていたんだからな」

「殿下がおっしゃっていた通り、ドロシーさんを合宿に呼んだ理由ってまさにそれでしたけっね...」

 ライラは思い出しながらそう言った。

「だがなにも出なかった...あぁ、正確には違うな。一点だけ妙な所があったが、それは別に重要じゃないと言うか、良く意味が分からんと言うか...」

「一体なんですか?」

「ドロシー嬢の部屋のバルコニーにトウモロコシの粒が落ちていたというものだ。な? 意味分からんだろ? 特に意味はないのかも知れないし、ドロシー嬢がバルコニーに出てトウモロコシを齧っていただけかも知れないし。まぁそれはそれでシュールな絵面ではあるんだが...ん? ライラ嬢、どうかしたのか?」

 ミハエルの話を聞いたライラは、少し考え込んだ後なにやらブツブツと呟き出した。その様子に気付いたミハエルが問い掛けるが、

「...いやまさか...そんなはずは...でも...そうなると...」

 ライラは思考の海に沈んだままだった。

「ライラ嬢、もしかしてなにか気付いたことがあったのか? そうだとしたら、なんでもいいから教えてくれないか?」

 重ねてミハエルが問い掛けるも、ライラはその質問には答えず逆に聞き返した。

「ねぇ殿下、合宿の初日に殿下が色々と今後のことを説明して下さった時に、ドロシーさんがなんて反応したのか覚えていらっしゃいます?」

「え~と...確か...」

 ミハエルはおとがいに指を当てて遠くを見詰めながら、どうにか思い出そうとするが上手く行かなかった。
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