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 そしてミシェル主催のお茶会の日を迎えた。

 場所は最初のドロシーの時と同じ中庭で開催される。

「皆さん、ようこそお越し頂きました」

 会場には三人掛けのテーブルが二脚並んでいた。それぞれのテーブルの上にはキレイな花々が花瓶に生けてあった。

「ミハエル殿下とドロシーさんはこちらのテーブルに。ファリスさん、ソニアさん、ライラさんはそちらのテーブルにどうぞ」

 ミシェルはそのように皆を案内し、自分はミハエル達のテーブルに着いた。

「本日はアールグレイをご用意しました。お茶請けにはアールグレイに良く合うと言われているチョコレートとバウンドケーキをご用意しております」

「美味しい...」

「良い香りがします...」

「チョコレートとバウンドケーキも良く合いますね」

 皆それぞれ感想を述べ合いながら、お茶とお茶請けの味を楽しんだ後は、最新の流行ファッションの話題や王都で一番人気のお芝居の話題などに花が咲いた。

 やがてミハエル達のテーブルでは隣国の珍しい宝石の話題で盛り上がり、ライラ達のテーブルではライラの書いた小説の話題で盛り上がった。

「皆さん、如何でしょうか? お楽しみ頂けておりますでしょうか?」

 ある程度時間が経った頃、徐にミシェルが立ち上がった。

「えぇ、お茶もお茶請けもどちらも美味しいし、生けてあるお花もとてもキレイだわ。ミシェルさんのセンスの良さが伝わって来るわね」

 皆を代表する形で、ドロシーがミシェルのことを称えた。

「ありがとうございます。ではここで余興を一つ」

 その言葉にライラはビクッと過敏に反応して、思わずミシェルを見詰めたまま身構えた。

「私がこの合宿中に書いた詩を朗読させて頂きたく存じます。拙い詩ではありますが、どうかご静聴頂けますと幸いです」

 そう言ってミシェルは懐から紙を取り出した。ライラはホッと息を吐きながら、詩の朗読を始めたミシェルの声に耳を傾けた。


◇◇◇


「フゥ...」
 
 何事もなく無事にお茶会が終わったことで、ライラは長い息を吐きながら背伸びした。

「お疲れ様でした」

 そこにミシェルがやって来た。

「あぁ、ミシェルさんの方こそお疲れ様でした」

「お楽しみ頂けましたか?」

「えぇ、とっても。ああいうのが本来の貴族のお茶会の形ということなんですね?」

「まぁ色々な形がありますから一概には言えませんが、スタンダードな形だったのは確かだと思いますよ?」

「なるほど」

「ライラさん、しっかりと覚えておいて下さいね? これから何度も主催することになるんですから」
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