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「な、なんてハタ迷惑な真似を...」

 ライラは頭を抱えてしまった。

「感謝してよね!」

 ソニアはエッヘン! とばかりに胸を張った。

「いやいや、する訳ないでしょうよ...」

 ライラはすっかり脱力して突っ込みにもキレがなくなっていた。

「とにかく、これからも私は精一杯あなた方二人を応援するつもりだから! 期待しててちょうだいね!」

「ホントマジ勘弁して...そんなんしなくていいから...」

 ライラは心底嫌がっているのだが、どうやらソニアの目にはそのことも照れ隠しに映っているようだ。

「照れなくていいのよ~♪ 私にはちゃ~んと分かってるんだから~♪」

「だから照れてねぇし...ソニアさんのそれは勘違いも甚だしいんですからね...」

「皆まで言うな♪ 皆まで言うな♪ ホンマに初々しい奴よのぉ~♪」

「ダメだこりゃ...」

 ライラはついに匙を投げた。ソニアの勘違いは留まる所を知らない。だからライラは他の方面からアプローチすることにした。

「ソニアさん、そんなことしちゃっていいんですか? 私を応援なんかしたら、あなたが王妃に選ばれなくなっちゃいますよ? そうなったら、啖呵切って出て来た実家に顔向け出来なくなるんじゃないんですか? 本当にそれでいいんですか?」

「あぁ、そんなこと? いいわよ別に。どうせ私なんか王妃になれっこないんだから」

 ソニアはあっけらかんとそう言い切った。

「そんなのまだ分からないじゃありませんか。少なくとも全員が横一線なのは間違いないんだから」

「あなた、本当に本心からそう思って言ってる?」

 ソニアはジト目でライラを睨んだ。そう言われるとライラも閉口するしかなかった。実際、ライラはソニアのことを一番下に格付けしてた訳だし。

「こんなもん、出来レースに決まってんじゃないのよ。本命はドロシーさんで対抗がレイチェルさん。私や他の人達は数合わせに呼ばれたんだってことぐらい最初っから分かってたわよ。でもまさか、レイチェルさんがあんなこと仕出かすなんてね...」

 被害者であるソニアの言葉は重みが違う。ライラは思わず顔を伏せた。

「オマケに大穴だと思ってたあなたが、実は殿下の中では大本命だったなんて...そんなことを知っちゃった日にゃあ、これはもう全力で応援するっきゃないじゃないのよ!」

 ソニアは拳を力強く握り締めて熱弁した。

「ハァァァ~...いやだからマジ止めて下さいよ...ホントお願いしますから...なんでもしますから...」

 ライラは長い長いため息を吐きながら切実にそう訴えた。

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