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「それじゃソニア嬢、次のお茶会の仕切りをよろしく頼む」

 ライラを無視してミハエルが続ける。

「畏まり!」

 ソニアは敬礼のポーズを取りながら元気良く返事をした。

「マジですか...そしてまたしても無視ですか...」

 ライラは頭を抱えた。

「開催日が決まったら連絡しますね~!」

 そんなライラの姿を見て見ぬ振りをしながら、ソニアは「キャルーン♪」っていう擬音が聞こえて来そうなとても良い笑顔を浮かべた。

「あぁ、よろしく頼む。さて諸君、待たせて済まない。食事にしようか」

 ミハエルが合図をすると、メイドさん達が料理を運び始めた。

「ハァ...」

 夕食の間中、一人浮かない顔のライラは、チラッと食事中のソニアの様子を伺った。どんな意図があって自分からお茶会を開くだなんて言い出したのか、その真意を探ろうと思ったのだが、

「ファリスさん、これ美味しいですね~♪」

「そうですね~」

 普段と変わりない。というより、普段よりもテンション高めなくらいだ。特に無理して笑っているという風には見えない。

 ちなみにファリスは間延び口調キャラにまた戻っていた。行ったり来たり忙しい限りである。キャラ付けになにか拘りでもあるのかも知れない。

 それはともかく、つまりは本当にソニアは自分から進んでお茶会を開こうとしている訳か。腹黒王子になんか言われたって訳じゃなくて。

 ライラは次にミハエルの方をチラッと見たが、こちらもいつも通りのポーカーフェイスなので真意は読めない。

 本人に直接確かめてみるしかないか。夕食が終わるや否や、ライラは部屋に戻ろうとするソニアを追い掛けた。部屋の手前で追い付いたライラは、

「ソニアさん」

「あら? ライラさん、なにかしら?」

「ちょっとお話が」

「そう。ここじゃなんだから私の部屋で話しましょう」

 ソニアは変わらず上機嫌のままライラを部屋に招いた。

「それで? 話って?」

「お茶会のことです。なんでまたご自分から開こうと?」

「トラウマになっているはずなのにって思った?」

「えぇ、まぁ...」

 ライラは言葉を濁した。

「大丈夫よ。心配しないで。あなたのお陰で克服したから。ありがとう。本当に感謝してるのよ。だから私が開くお茶会はあなたに対するお礼も兼ねてるの」

「いやそんなお礼だなんて別にいいんですが...でもお茶会を開くのがお礼っていうのは一体どういう意味なんでしょうか?」

 ライラは首を捻った。

「まだ秘密♪ 当日を楽しみにしててね♪」

 またしてもソニアは「キャルーン♪」的な笑顔を浮かべて煙に巻いたのだった。

 
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