王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「無くす!? 撤廃するってことですよね!? どうやって!? いやそもそもの話、王家の意向で撤廃するなんてことが可能なんですか!? それだと本末転倒になりません!?」

 ライラは首を捻った。ミハエルは一つ頷いてから、

「君の言う通りだ。そもそもの発端が王家側に責任がある以上、王家側から撤廃を言い出すのは確かに本末転倒に思えるよな。だが時間の経過と共に、元老院側の思惑も当初の理想から逸脱しつつあるのもまた事実なんだよ」

「と言いますと?」

「派閥の力が徐々に影響を及ぼすようになって来たということだ」

「あぁ、なるほど...それで...」

 ライラは納得したように頷いた。

「思い当たる節があるだろう?」

「えぇ、まぁ...今にして思えばですが、本当に公正な審査が行われているのであれば、私達が爵位毎に選ばれてるなんておかしいですよね。相応しいと思われる令嬢であるなら、爵位なんか関係無しに選ばれててもいいはずですもん。それこそ私みたいな男爵令嬢ばっかりとかだって良かったはずですよね」

「そういうことだ。君は飲み込みが早くて助かるよ」

 ミハエルは嬉しそうに笑った。

「つまりは候補者選抜の時点で、既に派閥の力関係を反映した結果になってしまっているんだよ。これではとてもじゃないが公正とは言えない」

「まるで昔に戻ってしまったみたいですよね...」

「あぁ、全くもってその通りだ。だからこそ、僕の代で是正したいと思ったんだ」

「なるほど...」

 そこでミハエルは少し神妙な顔付きになって、

「実はな...闇に葬られて公になってはいないが、今回のような騒ぎは過去に何度かあったんだよ」

「そうだったんですね...」

「さすがに死人が出るようなことはなかったみたいだが、多かれ少なかれ似たようなことは起こっていたらしい。なにせライバル達を一同に集めるんだ。今回のように、どんな手を使ってでも他人を蹴落とそうとするのはある意味必然のことなのかも知れないよな」

「そうかも知れませんね...」

「君を選んだのはそんな状況を一変させて欲しいと期待したからなんだ。実際、君は期待以上の働きを見せてくれた。僕の選んだ君が今回の事態を収束させたことを知れば、元老院のジジイ共も無視することなんて出来ないだろう。今なら僕の言い分も聞き入れて貰えるかも知れない」

「確かに...」

「それともう一つ、僕にとってメリットがあるんだよ」

 ミハエルは一転して悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 ライラはなんだかイヤな予感がした。
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