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その時だった。
ライラの右隣に座っていたソニアが、
「グエエエッ!」
と叫びながら口元を抑える。やがてその口元からポタリポタリと血が溢れ出した。紅茶のカップを持っていた手から力が抜け、カップが床に落ちて「ガシャーン!」と派手な音を立てて砕ける。
「キャア~!」
誰かが悲鳴を上げた。次の瞬間、ソニアはピクピクと痙攣しながらテーブルに突っ伏し、そのまま動かなくなった。
「た、大変だ! す、すぐに医者を!」
向こう正面に座ったミハエルが慌てて立ち上がったが、ライラは冷静にソニアの首元の脈を確認して頭を振った。
「もう手遅れです。既に事切れています」
「い、イヤァ~! も、もうイヤよ~!」
「そ、そんなバカな!」
「う、うぅ~...な、なんて酷い...」
「ウソでしょう!? ソニアさ~ん!」
まるで前回のお茶会のリプレイを見せ付けられたような恐怖の光景に、場は阿鼻叫喚の坩堝と化した。
そんな中、あくまでも一人冷静なライラは、
「皆さん、どうか落ち着いて下さい。テーブルの上にある物には手を触れないように」
そう言って立ち上がり、全員を見渡した後にミハエルに視線を固定させた。
「殿下、まずは安全を考慮してお茶会はここでお開き。皆さんは部屋に戻って貰うということでよろしいでしょうか?」
「あ、あぁ、そうだな...」
次にライラはソニアの体に近付き、そっと匂いを嗅いだ後に顔を歪めた。
「検視官を呼んで下さい。アーモンド臭がしますんで、青酸系の毒物が使用されたと思われます。恐らくは即死だったことでしょう」
「あ、あぁ、分かった...みんな、聞いていたな? 残念だがお茶会はここまでだ。各自部屋に戻ったら、こちらが許可するまで部屋から出ないように」
ミハエルがそう言うと、一人残らず顔面蒼白となった候補者達は、一人一人ヨロヨロと立ち上がってその場を後にした。
候補者達が全員居なくなったことを確認したライラは、
「ソニアさん、もういいですよ」
とソニアに声を掛けた。
「プッハァッ~!」
するとソニアは弾かれたように起き上がった。
「お疲れ様でした。見事な演技でしたよ? 特にあのピクピクッて体が痙攣した辺りなんか真に迫っていましたね」
「あれは演技じゃないのよ...」
「というと?」
「血糊を多く飲み込み過ぎたせいで息が詰まりそうになったのよ...本当に死ぬかと思ったわ...」
ソニアは血糊で真っ赤になった顔と体を恐怖で震わせていた。
「それはそれは...ご愁傷様でした...」
ライラは苦笑するしかなかった。
ライラの右隣に座っていたソニアが、
「グエエエッ!」
と叫びながら口元を抑える。やがてその口元からポタリポタリと血が溢れ出した。紅茶のカップを持っていた手から力が抜け、カップが床に落ちて「ガシャーン!」と派手な音を立てて砕ける。
「キャア~!」
誰かが悲鳴を上げた。次の瞬間、ソニアはピクピクと痙攣しながらテーブルに突っ伏し、そのまま動かなくなった。
「た、大変だ! す、すぐに医者を!」
向こう正面に座ったミハエルが慌てて立ち上がったが、ライラは冷静にソニアの首元の脈を確認して頭を振った。
「もう手遅れです。既に事切れています」
「い、イヤァ~! も、もうイヤよ~!」
「そ、そんなバカな!」
「う、うぅ~...な、なんて酷い...」
「ウソでしょう!? ソニアさ~ん!」
まるで前回のお茶会のリプレイを見せ付けられたような恐怖の光景に、場は阿鼻叫喚の坩堝と化した。
そんな中、あくまでも一人冷静なライラは、
「皆さん、どうか落ち着いて下さい。テーブルの上にある物には手を触れないように」
そう言って立ち上がり、全員を見渡した後にミハエルに視線を固定させた。
「殿下、まずは安全を考慮してお茶会はここでお開き。皆さんは部屋に戻って貰うということでよろしいでしょうか?」
「あ、あぁ、そうだな...」
次にライラはソニアの体に近付き、そっと匂いを嗅いだ後に顔を歪めた。
「検視官を呼んで下さい。アーモンド臭がしますんで、青酸系の毒物が使用されたと思われます。恐らくは即死だったことでしょう」
「あ、あぁ、分かった...みんな、聞いていたな? 残念だがお茶会はここまでだ。各自部屋に戻ったら、こちらが許可するまで部屋から出ないように」
ミハエルがそう言うと、一人残らず顔面蒼白となった候補者達は、一人一人ヨロヨロと立ち上がってその場を後にした。
候補者達が全員居なくなったことを確認したライラは、
「ソニアさん、もういいですよ」
とソニアに声を掛けた。
「プッハァッ~!」
するとソニアは弾かれたように起き上がった。
「お疲れ様でした。見事な演技でしたよ? 特にあのピクピクッて体が痙攣した辺りなんか真に迫っていましたね」
「あれは演技じゃないのよ...」
「というと?」
「血糊を多く飲み込み過ぎたせいで息が詰まりそうになったのよ...本当に死ぬかと思ったわ...」
ソニアは血糊で真っ赤になった顔と体を恐怖で震わせていた。
「それはそれは...ご愁傷様でした...」
ライラは苦笑するしかなかった。
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