王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

21

「お茶会は三日後を予定しています。皆さん、そのおつもりで居て下さいね」

　ライラはそう言って場を締めた。

「あ、あの...」

　その時、ファリスが遠慮がちに手を挙げた。

「ソニアさんのお見舞いに伺いたいのですが...よろしいでしょうか...」

「申し訳ない。一応聞いてはみたんだが、まだショックが尾を引いていて、誰とも会いたくないそうだ」

　ミハエルは俯きながら辛そうにそう言った。

「そうですか...」

「だがさっきライラ嬢が言った通り、次のお茶会には出席する予定だから、それまで待っていてくれないか?」

「分かりました...」

　ファリスは静かに頷いた。

　それでこの場はお開きになった。


◇◇◇


「すいません、ソニアさん。お待たせしました」

「待ってたわよ!　もうお腹ペコペコ!」

　現在、ソニアは処置室からライラの部屋へと移動していた。これはソニア本人が望んだことでもあり、ライラも快く承知したことなので、ミハエルとしても黙認するしかなかった。

　ソニアにとってみれば、命の恩人であるライラ以外、他の誰も信用できないという状況なので無理もないだろう。

　だからこうして夕食もライラが運んで来てあげているのだった。

「それで?　他のみんなの反応はどうだった?」

　夕食を頬張りながらソニアが尋ねる。行儀悪いと窘める者は誰も居ない。

「こんな状況ではとてもじゃないけどお茶会なんて...という雰囲気になりました」

「やっぱりそうなるわよね。私も第三者の立場だったらそう思うもん」

「まぁ、そうでしょうね」

「計画は予定通りなんでしょ?」

「えぇ、三日後です」

「それまで部屋に缶詰めになるのは退屈ねぇ...」

　ソニアはウンザリしたような表情を浮かべた。

「我慢して下さい」

「分かってるわよ。協力するって決めたんだから」

「あぁ、それとファリス嬢はまたお見舞いに来たいと言ってました」

「そう...ファリスさんには心配掛けちゃったわね...全部終わったらゆっくり話すことにするわ」

「えぇ、そうしてあげて下さい」

「お茶会の準備は順調?」

「はい、滞りなく。当日はソニアさんの名演技に期待してますからね?」　

「任せてといて!　演技ならお手のもんよ!　伊達に妹属性の演技をずっとして来ちゃいないわ!」

「やっぱり演技だったんですね」

　ライラは思わず苦笑した。

「当たり前じゃないの!　あんなのが本当に居たら痛々しいだけでしょ!」

「痛々しいという自覚はあったんですね...それでも続けてたのは?」

「妹属性は需要あんのよ!　そういうのが堪らないっていう輩は結構多いんだから!」

　ソニアはキッパリと言い切った。