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第2章 聖女と聖獣
第44話 終息
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「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
ファーヴニルが苦しそうに咆哮する。
ピキッ...ピキッピキッ...ピキッピキッピキッ...パリーン!
やったっ! 撃ち抜いた! これで勝ちだよな? あ、あれ? ファーヴニルが消えた!? あんな巨体がどこ行った? セイラは辺りをキョロキョロ見回した。
『良くやったわ、セイラ』
「あ、アンジュ! ど、どうなったんだ? 戦いは? ファーヴニルは?」
『私達の勝ちよ。奴は天界に帰ったわ』
「そうなんだ~! 勝てて良かったよ~ ! ホッとした~!」
この後、真のラスボスとか出て来なくて本当に良かったよ! セイラは心からそう思った。
『あなたのお陰よ。セイラ、本当にありがとう』
「いやいや、私の方こそお礼言わないと。私一人じゃ何にも出来なかったよ。アンジュのお陰だ。ありがとう」
いやもうホント、アンジュにおんぶに抱っこだったからね~
『フフッ、あなたは本当に素直で良い娘ね。セイラ、あなたに会えて良かったわ。じゃあそろそろ行くわね』
「えっ...もう行っちゃうのか?」
『えぇ、彼を...本当に本当に長い間...待たせてしまったから...』
「あ、そうだよな...シンさんだっけ? その...今度こそ二人で幸せになってくれよな?」
『ありがとう。あなたも元気でね。セイラ、あなたの幸せを天で祈ってるわ。本当にありがとう。さようなら』
「わ、私も、本当にありがとう。さようなら」
その時、天から一筋の光が差し込んで来て、ハッと見上げるとそこには...
巫女装束を纏った凄い美人さんと、見慣れない騎士服を着たイケメンが、仲良さそうに寄り添っていた。
(良かったな、アンジュ)
それを見ていたセイラは涙が止まらなかった。
◇◇◇
リシャール達は避難した住民達を引き連れ、町を少し離れた小高い丘の上に来ていた。
目の前で繰り広げられているのは人智を超えた戦い。神話の時代を生きる二頭の竜が現代に蘇って戦う様は、まるで宗教画でも見ているかのように現実感が無い。
その内の一頭、黒い竜の背に乗り黒髪を靡かせながら弓矢を放つセイラの姿は、まるで戦女神のように神々しく、美しく、力強い。
リシャールは、ただ見ている事だけしか出来無い自分を不甲斐なく思いながらも、あの戦いに身を投じる覚悟も度胸も実力も無い事を肌で感じてもいた。
戦いは佳境に入り、セイラの渾身の一撃が炸裂した。セイラの勝利で決着がついたようで、もう一頭の竜の姿がいつの間にか消えていた。
(良かった、本当に良かった...それにしても強い娘だよな...)
リシャールは思わず走り出していた。一刻も早くセイラの元へと...
ファーヴニルが苦しそうに咆哮する。
ピキッ...ピキッピキッ...ピキッピキッピキッ...パリーン!
やったっ! 撃ち抜いた! これで勝ちだよな? あ、あれ? ファーヴニルが消えた!? あんな巨体がどこ行った? セイラは辺りをキョロキョロ見回した。
『良くやったわ、セイラ』
「あ、アンジュ! ど、どうなったんだ? 戦いは? ファーヴニルは?」
『私達の勝ちよ。奴は天界に帰ったわ』
「そうなんだ~! 勝てて良かったよ~ ! ホッとした~!」
この後、真のラスボスとか出て来なくて本当に良かったよ! セイラは心からそう思った。
『あなたのお陰よ。セイラ、本当にありがとう』
「いやいや、私の方こそお礼言わないと。私一人じゃ何にも出来なかったよ。アンジュのお陰だ。ありがとう」
いやもうホント、アンジュにおんぶに抱っこだったからね~
『フフッ、あなたは本当に素直で良い娘ね。セイラ、あなたに会えて良かったわ。じゃあそろそろ行くわね』
「えっ...もう行っちゃうのか?」
『えぇ、彼を...本当に本当に長い間...待たせてしまったから...』
「あ、そうだよな...シンさんだっけ? その...今度こそ二人で幸せになってくれよな?」
『ありがとう。あなたも元気でね。セイラ、あなたの幸せを天で祈ってるわ。本当にありがとう。さようなら』
「わ、私も、本当にありがとう。さようなら」
その時、天から一筋の光が差し込んで来て、ハッと見上げるとそこには...
巫女装束を纏った凄い美人さんと、見慣れない騎士服を着たイケメンが、仲良さそうに寄り添っていた。
(良かったな、アンジュ)
それを見ていたセイラは涙が止まらなかった。
◇◇◇
リシャール達は避難した住民達を引き連れ、町を少し離れた小高い丘の上に来ていた。
目の前で繰り広げられているのは人智を超えた戦い。神話の時代を生きる二頭の竜が現代に蘇って戦う様は、まるで宗教画でも見ているかのように現実感が無い。
その内の一頭、黒い竜の背に乗り黒髪を靡かせながら弓矢を放つセイラの姿は、まるで戦女神のように神々しく、美しく、力強い。
リシャールは、ただ見ている事だけしか出来無い自分を不甲斐なく思いながらも、あの戦いに身を投じる覚悟も度胸も実力も無い事を肌で感じてもいた。
戦いは佳境に入り、セイラの渾身の一撃が炸裂した。セイラの勝利で決着がついたようで、もう一頭の竜の姿がいつの間にか消えていた。
(良かった、本当に良かった...それにしても強い娘だよな...)
リシャールは思わず走り出していた。一刻も早くセイラの元へと...
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