絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

文字の大きさ
上 下
119 / 130

第119話 ダンジョン攻略16

しおりを挟む
「うん!? ねぇ! 見て見て! 下に降りる階段があるよ!」

 リオが指差す先、祭壇の下にポッカリ穴が空いていて、そこから下に階段が伸びている。

「9階層目への入口かな?」

「恐らくそうだと思います。フロアボスっぽいのを倒したし」

「良し、行ってみるか」

 ユウとアリィがそんな会話を交わしている側で、またラキが静かになってしまった。

「ラキ、もう怖いのは出て来ないと思うぞ?」

「わ、分かっとるわい! さっさと行くぞ!」

 そう言いながらもラキは先導しようとはしないので、苦笑しながらユウが先頭を切って階段を降りて行った。


◇◇◇


 階段は然程長くなかった。

「よっと着いた。やっぱりここは9階層目みたいだな」

 ユウがそう言った通り、明らかに8階層目とはダンジョンの様子が変わっていた。そこはまるで鍾乳洞の中みたいだった。

 天井から氷柱のように鍾乳石が伸びて来て「ピチャーン、ピチャーン」と滴が垂れている。

「フム、ここは鍾乳洞エリアじゃな。湿度が高い故、足元が滑り易くなっておる。足を取られないように気を付けるんじゃぞ?」

 すっかり調子を取り戻したラキがしたり顔でそう告げると、三人は肩を竦めながら黙って従った。

 しばらく行くと前方に池が見えて来た。

「気を付けろ。何かおるぞ」

 ラキの言葉が終わらない内に、その何かが水中から飛び出て来た。

「ギィヤアッ!」

「ザハギンか。半魚野郎じゃな」

 そうラキが言った通り、見た目はまさに半魚人である。魚の上半身に人の下半身を持ち、三ツ又の槍を手にしている。ザハギンは群れで現れた。

 ドバッ!

 いきなりザハギンが口から水鉄砲のように水を吹き出した。

「どわっ!?」

 水はバリヤに防がれて届かないが、バリヤに当たった水が広がって視界が塞がれてしまった。

「キシャアッ!」

 その隙を突いてザハギンが肉薄して来る。三ツ又の槍を突き立てるが、それもバリヤが防いでくれる。

「良し! やっとクリアになった!」

 水が抜けて視界が確保できるようになった。

「フンッ!」「セイッ!」「ヤアッ!」

 そうなればザハギンなど敵ではない。あっという間に三人で蹴散らした。

「呆気なかったな」

「まぁ所詮半魚じゃし」

「リオ、お腹空いちゃった...」

「リオちゃん、あれは食べられませんよ?」

 そんな呑気な会話を交わしていた時だった。

「うん!? なんか聞こえないか!?」

 ユウが耳を欹てる。

「これは...歌声!?」

 その瞬間、ラキが叫ぶ。

「マズい! セイレーンじゃ! お主ら、耳を塞げ!」 

「「「 へっ!? 」」」

 三人はポカンとしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

処理中です...