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第87話 王都観光
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結局その日は目ぼしい依頼がなかったので、王都観光をすることにした。
考えてみれば、王都に来てからというもの獣人街と薬屋くらいしか行ってない。ランクアップを急ぐあまり少し余裕が無くなっていたようだ。
一刻も早くあの悪徳領主を告発したいという気持ちに変わりはないが、焦っても良い事は無いと思うようになったのだ。という訳で、
「どこに行きたい?」
ユウが近くのお土産物屋で売っていた観光マップを手に皆に尋ねる。
「妾は美術館に行きたい」
「リオは遊技場に行きたい!」
「私は図書館に行ってみたいです」
見事に三者三様の結果になった。
「ユウ、お主はどうなんじゃ?」
ラキが逆に尋ねる。ユウは少し考え込んでから、
「俺は...そうだな...遊技場がどんな所か見てみたいかも」
「やった~!」
リオが小躍りした。
「じゃったら二手に分かれんか? 美術館と図書館は同じ区画にあるでな。アリィはどうじゃ?」
ラキがそう提案する。
「えぇ、私も美術館にも興味があるんでそれで構いません」
アリィは頷いた。
「決まりじゃな」
ラキが一緒ならアリィも心配無さそうだ。ユウも頷いた。待ち合わせ場所を冒険者ギルドに決めた。
こうして二手に分かれての王都観光がスタートした。
◇◇◇
「ここが遊技場か」
ユウとリオが訪れたのは、祭りの出店のような店が軒を連ねている場所だった。射的や輪投げといった日本でも定番のモノや、金魚すくいならぬトカゲすくい? 釣り? のような異世界ならではのモノまで、とにかく様々な店が揃っている。
遊技場というからには、どこか一つの建物の中にあるモノだと思っていたが、どうやら違ったようだ。ビリヤードやダーツなどがあるんじゃないかと期待してたんだが...ユウはちょっと残念な気持ちになった。
だか出店を前にしたリオの目は爛々と輝いている。
「リオ、どれやりたい?」
「全部っ!」
リオの力強い返事に苦笑しながら、ユウは一つ一つ付き合って行ったのだった。自分の娘がまだ幼い時に、遊園地や動物園に連れて行ったことを思い出しながら。
◇◇◇
「これは何を描いているんでしょうか...」
「う~む...難解じゃの...」
一方その頃、アリィとラキは美術館で象徴主義なのか抽象絵画なのか良く分からない芸術作品を前に首を捻っていた。
「普通の風景画とか人物画が見たかったのに...」
「どうやら今週はこの訳の分からん流派の特集らしいの...」
二人は早々に美術館を後にし、図書館に向かった。
「これはまた凄い蔵書量じゃの...」
「何十万冊あるんでしょうか...」
さすがは王都の図書館というべきか、広い敷地を埋め尽くす書架の数に二人は圧倒された。
「アリィ、二階がラウンジになっていて飲食が可能のようじゃ」
「いいですね。じゃあ本を選んで二階に上がりましょうか」
アリィはこの世界の魔物辞典を、ラキは娯楽小説を選んでまったりと読んで夕方まで過ごした。
待ち合わせ場所の冒険者ギルドに戻ると、やりきった感で満足げなリオと、子供に振り回されて疲れ切った休日のお父さんみたいなユウが待っていた。
考えてみれば、王都に来てからというもの獣人街と薬屋くらいしか行ってない。ランクアップを急ぐあまり少し余裕が無くなっていたようだ。
一刻も早くあの悪徳領主を告発したいという気持ちに変わりはないが、焦っても良い事は無いと思うようになったのだ。という訳で、
「どこに行きたい?」
ユウが近くのお土産物屋で売っていた観光マップを手に皆に尋ねる。
「妾は美術館に行きたい」
「リオは遊技場に行きたい!」
「私は図書館に行ってみたいです」
見事に三者三様の結果になった。
「ユウ、お主はどうなんじゃ?」
ラキが逆に尋ねる。ユウは少し考え込んでから、
「俺は...そうだな...遊技場がどんな所か見てみたいかも」
「やった~!」
リオが小躍りした。
「じゃったら二手に分かれんか? 美術館と図書館は同じ区画にあるでな。アリィはどうじゃ?」
ラキがそう提案する。
「えぇ、私も美術館にも興味があるんでそれで構いません」
アリィは頷いた。
「決まりじゃな」
ラキが一緒ならアリィも心配無さそうだ。ユウも頷いた。待ち合わせ場所を冒険者ギルドに決めた。
こうして二手に分かれての王都観光がスタートした。
◇◇◇
「ここが遊技場か」
ユウとリオが訪れたのは、祭りの出店のような店が軒を連ねている場所だった。射的や輪投げといった日本でも定番のモノや、金魚すくいならぬトカゲすくい? 釣り? のような異世界ならではのモノまで、とにかく様々な店が揃っている。
遊技場というからには、どこか一つの建物の中にあるモノだと思っていたが、どうやら違ったようだ。ビリヤードやダーツなどがあるんじゃないかと期待してたんだが...ユウはちょっと残念な気持ちになった。
だか出店を前にしたリオの目は爛々と輝いている。
「リオ、どれやりたい?」
「全部っ!」
リオの力強い返事に苦笑しながら、ユウは一つ一つ付き合って行ったのだった。自分の娘がまだ幼い時に、遊園地や動物園に連れて行ったことを思い出しながら。
◇◇◇
「これは何を描いているんでしょうか...」
「う~む...難解じゃの...」
一方その頃、アリィとラキは美術館で象徴主義なのか抽象絵画なのか良く分からない芸術作品を前に首を捻っていた。
「普通の風景画とか人物画が見たかったのに...」
「どうやら今週はこの訳の分からん流派の特集らしいの...」
二人は早々に美術館を後にし、図書館に向かった。
「これはまた凄い蔵書量じゃの...」
「何十万冊あるんでしょうか...」
さすがは王都の図書館というべきか、広い敷地を埋め尽くす書架の数に二人は圧倒された。
「アリィ、二階がラウンジになっていて飲食が可能のようじゃ」
「いいですね。じゃあ本を選んで二階に上がりましょうか」
アリィはこの世界の魔物辞典を、ラキは娯楽小説を選んでまったりと読んで夕方まで過ごした。
待ち合わせ場所の冒険者ギルドに戻ると、やりきった感で満足げなリオと、子供に振り回されて疲れ切った休日のお父さんみたいなユウが待っていた。
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