絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第85話 月見草

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 冒険者ギルドで護衛任務を無事受注してから、ユウがシモンに尋ねる

「ところで月見草ってなんだ?」

「読んで字の如く、満月の夜に花が開く植物でな。獣人にとっては先祖の魂が宿っていると信じられているんじゃよ」

「なるほど。じゃあ夜になってから行くんだな?」

「あぁ、そうなるな」

「じゃあ夜まで時間を潰すのに獣人街へ行くか? 子供達の様子も気になるし」

「賛成!」

 真っ先にリオが反応した。


◇◇◇


 久し振りと言う程ではないが、顔を合わせた子供達はみんな元気そうでユウ達は安心した。リオは早速子供達に囲まれ楽しそうだ。

 アリィも違った意味で大人気で、子供達のためにお菓子やジュースなどを出してあげていた。

「子供達は皆息災のようだな」

 ラキが目を細める。

「あぁ、辛いことがあったというのに健気なもんじゃよ」

 シモンも目を細めた。

「何か不自由していることはないか?」

「いや、特に無い。お主が寄付してくれたお陰じゃ。感謝しとる」

「気にするな」

 子供達と遊んでいる内に日が暮れて来たので、そろそろ出発することにした。


◇◇◇


「月見草はどこに生えているんだ?」

 王都から出た所で、ユウがシモンに尋ねる。

「ここからしばらく南に行った所にある小高い丘の上じゃ」

「なるほど。じゃあ行こうか。案内してくれ」

 ユウとシモンが先頭を歩き、皆がその後に続く。

「夜行性の魔物に注意しろ」

 ラキが注意喚起する。しばらく歩いていると、闇の中に赤く光る瞳が見えた。

「ガルルルッ!」

「な、なんだ!?」

「大山猫じゃ! 気を付けろ!」

 ラキの言葉が終わらない内に、大山猫が襲い掛かって来た。

「みんな! 俺の側に! 離れるなよ! ってか、山猫って大きさじゃねぇだろ!? どう見てもライオンか虎じゃねぇか!?」

 ユウがボヤいた通り、大山猫の大きさは猫科の大型哺乳類並みだった。ユウが張ったバリヤに鋭い牙や爪を突き立てるその姿は、とても猫には見えない。ちなみに毛皮は虎模様だ。もう虎でいいんじゃないか? ユウはそんなことを考えていた。

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」

 ユウのバリヤの効能を知らないシモンが恐怖で固まる。

「大丈夫! 心配無い!」

 ユウがユグドラシルの枝を一閃する。

「ギャウッ!」

 大山猫は一撃で両断された。

「な、何が起こったんじゃ!?」

 シモンが呆然としている。

「シモン、お主が雇った護衛は優秀だったってことじゃよ」

 ラキがとても良い笑顔でそう言った。

 その後は何事もなく無事に月見草を手に入れ、初の護衛任務は終了した。

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