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第79話 鶏は丸焼きで
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深夜になってそろそろ良い頃合いだろうということで、リオを起こしてから出発することにした。
ドラゴンになったラキに乗り、山の頂上付近を目指す。海抜千mくらいの比較的低い山なので、あっという間に頂上に辿り着く。
どうやら休火山のようで、月明かりに照らされた大きく開いた火口には、丈の低い草がビッシリと生えている。底の方は暗くて良く見えない。
『コカトリス』の巣はその底の方にあるようだ。ラキがすぐ側に着地する。
「良いか? まずは妾が攻撃してみる故、お主らは身を守っておれ」
「分かった。気を付けてな」
ラキが単身で火口の底に向かう。ユウはバリヤを展開してアリィとリオを守る。やがて、
「クエエエッ!」
という鳴き声と共に、2羽の『コカトリス』が飛んで来た。どうやら番らしい。1羽がラキに、もう1羽がユウ達に向かって来た。
近くで見た『コカトリス』は、なるほど外見は鶏そのものだ。鶏冠があるし肉髯もある。ただサイズが桁違いだ。羽を広げた全長は優に5mは超えるだろう。そして確かに尾羽根の部分が黒い蛇になっている。
『コカトリス』は鋭い嘴と鉤爪、尾羽根の蛇で攻撃して来る。いくら攻撃されても、バリヤはビクともしないので安心して見ていられるが『コカトリス』は時折、紫色の液体を振り撒いている。これがきっと毒だろう。
バリヤは毒も防いでくれるはずなので、安心なのは分かっているが...なにせ気体の攻撃まで防いでくれるのだから...それでも間近で見せられると恐怖は感じる。
間違っても今のユウ達のレベルで勝てるような相手ではない。
「2人とも、俺から離れるなよ!」
思わずユウの声にも力が籠る。
「「 はいっ! 」」
アリィとリオも力強く返事をする。攻撃が効かず埒が明かないと判断したのか『コカトリス』が高く飛び上がった。
そこにもう1羽の『コカトリス』が吹っ飛んで来た。どうやらラキが投げ付けたらしい。
「「 クエエエッ! 」」
『コカトリス』が2羽纏めて仲良く吹っ飛んで行った。そこへラキのブレスが炸裂する。
「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
『コカトリス』は2羽ともこんがり焼けて息絶えた。辺りに香ばしい匂いが漂う。じゅるりとリオが涎を溢した。
「リオ、こいつらは毒まみれだから食えんからな?」
ラキが釘を刺す。
「べ、別に食べようとか思ってないし!」
リオが真っ赤になって否定する。
「リオ、涎を拭いてから言え」
ユウがトドメを刺した。場が笑いに包まれる。
「さて、討伐証明の魔石を獲って帰るとするか」
ラキが2羽の『コカトリス』から魔石を獲り出し帰路に就いた。
その後、夜食に鶏の丸焼きをアリィが出して、それにみんなして齧り付いたのだった。
ドラゴンになったラキに乗り、山の頂上付近を目指す。海抜千mくらいの比較的低い山なので、あっという間に頂上に辿り着く。
どうやら休火山のようで、月明かりに照らされた大きく開いた火口には、丈の低い草がビッシリと生えている。底の方は暗くて良く見えない。
『コカトリス』の巣はその底の方にあるようだ。ラキがすぐ側に着地する。
「良いか? まずは妾が攻撃してみる故、お主らは身を守っておれ」
「分かった。気を付けてな」
ラキが単身で火口の底に向かう。ユウはバリヤを展開してアリィとリオを守る。やがて、
「クエエエッ!」
という鳴き声と共に、2羽の『コカトリス』が飛んで来た。どうやら番らしい。1羽がラキに、もう1羽がユウ達に向かって来た。
近くで見た『コカトリス』は、なるほど外見は鶏そのものだ。鶏冠があるし肉髯もある。ただサイズが桁違いだ。羽を広げた全長は優に5mは超えるだろう。そして確かに尾羽根の部分が黒い蛇になっている。
『コカトリス』は鋭い嘴と鉤爪、尾羽根の蛇で攻撃して来る。いくら攻撃されても、バリヤはビクともしないので安心して見ていられるが『コカトリス』は時折、紫色の液体を振り撒いている。これがきっと毒だろう。
バリヤは毒も防いでくれるはずなので、安心なのは分かっているが...なにせ気体の攻撃まで防いでくれるのだから...それでも間近で見せられると恐怖は感じる。
間違っても今のユウ達のレベルで勝てるような相手ではない。
「2人とも、俺から離れるなよ!」
思わずユウの声にも力が籠る。
「「 はいっ! 」」
アリィとリオも力強く返事をする。攻撃が効かず埒が明かないと判断したのか『コカトリス』が高く飛び上がった。
そこにもう1羽の『コカトリス』が吹っ飛んで来た。どうやらラキが投げ付けたらしい。
「「 クエエエッ! 」」
『コカトリス』が2羽纏めて仲良く吹っ飛んで行った。そこへラキのブレスが炸裂する。
「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
『コカトリス』は2羽ともこんがり焼けて息絶えた。辺りに香ばしい匂いが漂う。じゅるりとリオが涎を溢した。
「リオ、こいつらは毒まみれだから食えんからな?」
ラキが釘を刺す。
「べ、別に食べようとか思ってないし!」
リオが真っ赤になって否定する。
「リオ、涎を拭いてから言え」
ユウがトドメを刺した。場が笑いに包まれる。
「さて、討伐証明の魔石を獲って帰るとするか」
ラキが2羽の『コカトリス』から魔石を獲り出し帰路に就いた。
その後、夜食に鶏の丸焼きをアリィが出して、それにみんなして齧り付いたのだった。
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