絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第76話 高難度クエスト

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 ユウとアリィは口をパクパクさせている。

 抗議したくても、そもそもがラキの獲って来た物なのでその権利が無いし、いったん出してしまった物を引っ込めるというのもどうかと思う。だがせめて少しくらいは残しても...

 その結果の口パクなのだが、そんなことは気にも留めずラキは話を進める。

「久し振りに来たが、街並みは以前とほとんど変わってないように見える。相変わらず資金繰りには苦労しとるんじゃろ? 遠慮せんと使ってくれ。お主なら皆の生活が良くなるように使えるじゃろう」

「済まん...恩に着る...」

 シモンが深々と頭を下げる。こうされてしまってはユウとアリィも何も言えない。
 
「ところでシモン、悪徳領主の罪を暴く件じゃが」

 それを聞いたシモンが渋い顔をする。

「厳しいな...そこまで堂々と不正を働くような輩は、中央にまで根を張っておるじゃろうな...」

「やはりそうか...普通に訴えても握り潰されるか...」

「あぁ、それだけならまだしも、冤罪だと騒がれて訴えた方が逆に裁かれかねん...」

「どこまでも腐っておるな...」

 ラキは深いため息を吐いた。

「間に誰も介さず、国王に直接訴えることが出来ればいいんじゃが...今の国王は賢王と言われておるから、話を聞いてくれさえすれば...」

「それも難しいんじゃな?」

「あぁ...普通に謁見を申し込んでも何年待たされることか...そもそも申し込んだ時点で弾かれる可能性もあるな...」

「そうか...」

 場が重苦しい雰囲気に包まれる。ややあってシモンが苦い顔をしながら呟いた。

「一つだけ国王に会える方法があることはあるんじゃが...」

「なにっ!? それはなんじゃ!?」

 ラキが食い付いた。

「王家が発注した高難度クエストを受注してクリアすることじゃ。そうすれば国王と謁見する機会があると聞く」

「なるほどな...」

「当然ながら、そう簡単にはクリア出来んじゃろうから、これは現実的な手段とはとても言えんが...」

「いや、良いことを教えてくれた。どうじゃお主ら、挑戦してみんか?」

 それまで静観していたユウとアリィは、お互い顔を見合わせてから徐に答えた。

「可能性があるならチャレンジしてみたい」

「怖いですけど...みんなと一緒なら...」

「決まりじゃな」

 ラキは満足気にそう言った。

「おいおい...本気でやる気か!?」

 シモンは呆れたような表情を浮かべた。

「なあに、妾が本気を出せば、たとえどんな相手であっても敵じゃないわい」 

 そう言ってラキは不適に笑った。

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