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第72話 王都へ
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合流地点である野営地には、ラキの方が先に到着していた。
「ご苦労さん、首尾は上々だったようじゃの」
ラキは獣人の子供達を見ながら目を細める。
「あぁ、そっちは?」
「こっちも上々じゃ」
そう言ってラキはパンパンに膨れ上がったリュックを指差す。いきなり現れたラキに警戒する子供達には、リオが丁寧に説明した。ラキの正体がドラゴンだと知って、子供達は驚愕の表情を浮かべた。
「取り敢えず一休みしよう。アリィ、頼む」
「分かりました」
アリィがポンっと家を出したのを見て、また子供達がビックリした。子供達に対する説明はリオに丸投げすることにして、全員が家の中に入る。
家の中を子供達が物珍しげに見回す。小腹が空いたというので軽食と飲み物を用意し、後の説明はリオに全て任せて、大人組はラキの持ち帰った戦利品のチェックに入った。
「凄い...金銀財宝の山だ...俺達大金持ちだ...」
「あわわわ...現金がこんなに...一体幾らあるんでしょう...」
元が小市民なユウとアリィの二人は、すっかりお宝に目が眩んだ。
「お主ら、しっかりせんか。本題はこっちじゃろう。行き掛けの駄賃に目を奪われてどうする?」
そう言ってラキはトントンと書類を指で叩いた。
「それは分かっちゃいるんだが、これはもはや駄賃ってレベルでは...」
「寧ろこっちの方が本命と呼べるんではないかと...」
その後もしばらくは、お宝にしか目が向かない二人であった。
◇◇◇
リオの方の説明も一段落つき、書類の精査をしながら一頻り領主の悪口を言った後は、これから先どうしようかという話になった。
獣人の子供達を代表して、リオと同い年だというウサギ獣人の少女アンが口を開く。
「リオから全て聞きました。助けて頂きまして、本当にありがとうございます。それでこれからなんですが、私達の両親が言ってました。困ったら王都の獣人街を頼れって。だから私達は王都を目指そうと思います」
「王都っていうと?」
「ドリスと言って国で一番大きな町じゃ。王城がありこの国の中心じゃな」
ラキが補足する。
「なるほど...この書類を提出してクソ領主の罪を明らかにするためには、俺達も王都に行く必要があるよな。分かった。一緒に行こう」
「あ、ありがとうございます!」
ユウがそう判断して、それに対しアンがお礼を言った。アンが頭を下げた際、ウサ耳がピョコピョコ揺れて、それを見たアリィが、手をワキワキさせて触りたそうにしている。
「ラキ、王都までどれくらい掛かるんだ?」
ユウがラキに尋ねると、ラキは難しい顔をして、
「妾なら飛んですぐなんじゃが、さすがにこの人数は無理じゃな。となると馬車で行くしかないんじゃが、妾は馬車で行ったことが無いから正直良く分からん。一週間くらいは掛かるんじゃないのか?」
「それもそうか」
「あのさ、ラキとリオに分けて乗って行ったらどうかな?」
リオがそう提案して来た。
「なるほど...全員で10人だから、5人ずつってことか。それならイケるんじゃないか?」
「そうじゃな。イケそうじゃ。夜になったら出発するか。あんまりここに長居していると、領主の追っ手が掛かるかも知れん」
「そうだな」
こうして夜までのんびりしてから出発することになった。
「ご苦労さん、首尾は上々だったようじゃの」
ラキは獣人の子供達を見ながら目を細める。
「あぁ、そっちは?」
「こっちも上々じゃ」
そう言ってラキはパンパンに膨れ上がったリュックを指差す。いきなり現れたラキに警戒する子供達には、リオが丁寧に説明した。ラキの正体がドラゴンだと知って、子供達は驚愕の表情を浮かべた。
「取り敢えず一休みしよう。アリィ、頼む」
「分かりました」
アリィがポンっと家を出したのを見て、また子供達がビックリした。子供達に対する説明はリオに丸投げすることにして、全員が家の中に入る。
家の中を子供達が物珍しげに見回す。小腹が空いたというので軽食と飲み物を用意し、後の説明はリオに全て任せて、大人組はラキの持ち帰った戦利品のチェックに入った。
「凄い...金銀財宝の山だ...俺達大金持ちだ...」
「あわわわ...現金がこんなに...一体幾らあるんでしょう...」
元が小市民なユウとアリィの二人は、すっかりお宝に目が眩んだ。
「お主ら、しっかりせんか。本題はこっちじゃろう。行き掛けの駄賃に目を奪われてどうする?」
そう言ってラキはトントンと書類を指で叩いた。
「それは分かっちゃいるんだが、これはもはや駄賃ってレベルでは...」
「寧ろこっちの方が本命と呼べるんではないかと...」
その後もしばらくは、お宝にしか目が向かない二人であった。
◇◇◇
リオの方の説明も一段落つき、書類の精査をしながら一頻り領主の悪口を言った後は、これから先どうしようかという話になった。
獣人の子供達を代表して、リオと同い年だというウサギ獣人の少女アンが口を開く。
「リオから全て聞きました。助けて頂きまして、本当にありがとうございます。それでこれからなんですが、私達の両親が言ってました。困ったら王都の獣人街を頼れって。だから私達は王都を目指そうと思います」
「王都っていうと?」
「ドリスと言って国で一番大きな町じゃ。王城がありこの国の中心じゃな」
ラキが補足する。
「なるほど...この書類を提出してクソ領主の罪を明らかにするためには、俺達も王都に行く必要があるよな。分かった。一緒に行こう」
「あ、ありがとうございます!」
ユウがそう判断して、それに対しアンがお礼を言った。アンが頭を下げた際、ウサ耳がピョコピョコ揺れて、それを見たアリィが、手をワキワキさせて触りたそうにしている。
「ラキ、王都までどれくらい掛かるんだ?」
ユウがラキに尋ねると、ラキは難しい顔をして、
「妾なら飛んですぐなんじゃが、さすがにこの人数は無理じゃな。となると馬車で行くしかないんじゃが、妾は馬車で行ったことが無いから正直良く分からん。一週間くらいは掛かるんじゃないのか?」
「それもそうか」
「あのさ、ラキとリオに分けて乗って行ったらどうかな?」
リオがそう提案して来た。
「なるほど...全員で10人だから、5人ずつってことか。それならイケるんじゃないか?」
「そうじゃな。イケそうじゃ。夜になったら出発するか。あんまりここに長居していると、領主の追っ手が掛かるかも知れん」
「そうだな」
こうして夜までのんびりしてから出発することになった。
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