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第62話 ワンダートレント
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霧の中から現れたのは、巨大な木の形をした魔物だった。
「ワンダートレントか。良くもまあ、ここまで大きく育ったもんじゃの」
ラキが呆れたようにそう言った。幹周りは何mあるのか分からない。見上げてもどこまで高いのか分からない。幹の真ん中には大きな口が開いている。
「ブロゥゥゥッ!」
ワンダートレントは長い根と枝を伸ばして攻撃して来た。
「みんな! 俺の側から離れるな!」
ユウが叫ぶ。瞬時に周囲へバリヤを展開した。だがその刹那、ラキはバリヤの範囲から1人離れた。
「お主らはそこで見ておれ」
「ラキ!? 何をするつもりだ!?」
ラキは急いで服を脱ぐとドラゴンの姿になった。
「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
咆哮を上げたラキは、ワンダートレントの大きな口目掛けてブレスを放った。
「ブロゥゥゥッ!」
ワンダートレントは苦しそうにしながらも、更に根と枝をメチャクチャに動かして攻撃して来た。それをラキが避けたり前足で弾いたりしながら、もう一発ブレスをぶち込む。
「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
ワンダートレントの動きが鈍くなった。根も枝もダラリと下がった。三発目のブレスで完全に動きを止めた。
「やっとくたばったか。意外としぶとかったの」
ラキは何事もなかったかのように、ドラゴンから竜人の姿に戻った。ユウ達は異次元過ぎる怪物達の戦いに言葉もなかった。
服を着たラキは、ヒョイヒョイとワンダートレントの亡骸に近付き、何かを探している。
「お、あったあった。これじゃ」
そう言ってラキが持ち上げたのは、緑色に光る巨大な魔石だった。高さは約1m。円錐形になっていて、円周は約2mくらいだろうか。
「これだけ立派な魔石なら高く売れるぞ? マンドラゴラの報酬と合わせればポーションも万能薬も買えそうじゃ」
「そうなのか!?」
ラキの言葉にユウが喜色満面になる。
「あぁ、妾達は運が良かったぞ? 恐らくこのワンダートレントは、長年棲息していたこの森の主じゃろう。ここまで大きく育つのに何年掛かったのか分からんが、妾の敵ではなかったの」
「た、確かにそうみたいだな」
ユウは先程の戦いを思い出し、改めてドラゴンの強さを思い知った。
「さてと、目的は果たしたし、さっさと帰るとするかの」
「そうだな...おい、アリィ、リオ、どうした? 行くぞ?」
「『 こ、腰が抜けた... 』」
いきなりあんな怪獣大決戦みたいなのを見せられては無理もないだろう。
「ちょっと休憩してから帰ろうか」
ユウはどっかと腰を下ろした。
ともあれ、マンドラゴラの採取依頼は無事達成した。
「ワンダートレントか。良くもまあ、ここまで大きく育ったもんじゃの」
ラキが呆れたようにそう言った。幹周りは何mあるのか分からない。見上げてもどこまで高いのか分からない。幹の真ん中には大きな口が開いている。
「ブロゥゥゥッ!」
ワンダートレントは長い根と枝を伸ばして攻撃して来た。
「みんな! 俺の側から離れるな!」
ユウが叫ぶ。瞬時に周囲へバリヤを展開した。だがその刹那、ラキはバリヤの範囲から1人離れた。
「お主らはそこで見ておれ」
「ラキ!? 何をするつもりだ!?」
ラキは急いで服を脱ぐとドラゴンの姿になった。
「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
咆哮を上げたラキは、ワンダートレントの大きな口目掛けてブレスを放った。
「ブロゥゥゥッ!」
ワンダートレントは苦しそうにしながらも、更に根と枝をメチャクチャに動かして攻撃して来た。それをラキが避けたり前足で弾いたりしながら、もう一発ブレスをぶち込む。
「グオォォォォッーーーーー!!!!!」
ワンダートレントの動きが鈍くなった。根も枝もダラリと下がった。三発目のブレスで完全に動きを止めた。
「やっとくたばったか。意外としぶとかったの」
ラキは何事もなかったかのように、ドラゴンから竜人の姿に戻った。ユウ達は異次元過ぎる怪物達の戦いに言葉もなかった。
服を着たラキは、ヒョイヒョイとワンダートレントの亡骸に近付き、何かを探している。
「お、あったあった。これじゃ」
そう言ってラキが持ち上げたのは、緑色に光る巨大な魔石だった。高さは約1m。円錐形になっていて、円周は約2mくらいだろうか。
「これだけ立派な魔石なら高く売れるぞ? マンドラゴラの報酬と合わせればポーションも万能薬も買えそうじゃ」
「そうなのか!?」
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「あぁ、妾達は運が良かったぞ? 恐らくこのワンダートレントは、長年棲息していたこの森の主じゃろう。ここまで大きく育つのに何年掛かったのか分からんが、妾の敵ではなかったの」
「た、確かにそうみたいだな」
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「そうだな...おい、アリィ、リオ、どうした? 行くぞ?」
「『 こ、腰が抜けた... 』」
いきなりあんな怪獣大決戦みたいなのを見せられては無理もないだろう。
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