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第58話 新しい依頼
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如何にも成金趣味といった感じの、派手に金ピカで彩られた馬車から降りて来たのは、でっぷりと太った赤ら顔の中年男だった。
葉巻を咥えながら尊大な態度で歩いている。周りに居た人々が「ガイエル様だ」「領主様だ」と口々に言っている。
コイツか! 思わずユウが睨み付ける。リオを抱いたアリィの表情が固くなる。リオが牙を覗かせる。そんな中、ガイエルはゆったりと歩いてレストランに入っていった。
「どうした?」
大人モードになって着替えたラキが戻って来て、ただならぬ雰囲気に気付いた。
「...あいつが...領主が居た...」
ユウが血を吐くように言った。
「そうか...」
ラキはユウの肩を抱きながら、
「今は我慢じゃ...」
そう言ってその場から離れるように促した。
◇◇◇
領都の冒険者ギルドは、ベントの町にあったものよりも規模が大きかった。中に入ると冒険者の姿はほとんどなかった。みんな仕事にでも出てるのだろうか。
「それで? まず何を探る?」
ラキがユウに尋ねる。幾分落ち着いたユウは、
「まず依頼を確認しよう」
そう言って依頼ボードに足を向ける。次々と依頼を確認していって、
「あった! これだ!」
一つの依頼を指差す。
「どれどれ...なになに...マンドラゴラの採取依頼? これがどうかしたのか?」
ラキが確認して首を傾げる。
「依頼主の所を見てみろ」
「これは...なるほどな」
「領主が依頼主ですか...」
ラキとアリィも得心がいったようだ。
「あぁ、依頼を達成すればそれを持って行くため領主の屋敷に入れるだろ? そこで何かしらの証拠が掴めないかと思ってな」
「ふむふむ...なるほど...具体的には?」
「それは...これから考える...」
ラキの質問にユウは元気なく答えた。どうやらそこまでは考えていなかったようである。
「...まあ、よかろう。採取依頼なだけあって、ランクに関係なく受けられそうじゃしな」
「そうだろ?」
途端にユウが元気になる。
「じゃがな、マンドラゴラを採取するのは容易ではないぞ?」
「そうなのか...」
またユウが元気をなくした。非常に浮き沈みが激しい。
『多分だけど、リオなら鼻が利くから見付けられると思うよ?』
それまで黙っていたリオがそう宣言する?
「「「 本当か(ですか)!? 」」」
みんなに詰め寄られてリオがたじたじとなる。
『ち、近くまで行ければだよ? あんまし遠いとさすがに無理だよ?』
「それで十分だ! 早速依頼を受けよう!」
こうして領主の依頼であるマンドラゴラの採取を引き受けることになった。
葉巻を咥えながら尊大な態度で歩いている。周りに居た人々が「ガイエル様だ」「領主様だ」と口々に言っている。
コイツか! 思わずユウが睨み付ける。リオを抱いたアリィの表情が固くなる。リオが牙を覗かせる。そんな中、ガイエルはゆったりと歩いてレストランに入っていった。
「どうした?」
大人モードになって着替えたラキが戻って来て、ただならぬ雰囲気に気付いた。
「...あいつが...領主が居た...」
ユウが血を吐くように言った。
「そうか...」
ラキはユウの肩を抱きながら、
「今は我慢じゃ...」
そう言ってその場から離れるように促した。
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領都の冒険者ギルドは、ベントの町にあったものよりも規模が大きかった。中に入ると冒険者の姿はほとんどなかった。みんな仕事にでも出てるのだろうか。
「それで? まず何を探る?」
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「まず依頼を確認しよう」
そう言って依頼ボードに足を向ける。次々と依頼を確認していって、
「あった! これだ!」
一つの依頼を指差す。
「どれどれ...なになに...マンドラゴラの採取依頼? これがどうかしたのか?」
ラキが確認して首を傾げる。
「依頼主の所を見てみろ」
「これは...なるほどな」
「領主が依頼主ですか...」
ラキとアリィも得心がいったようだ。
「あぁ、依頼を達成すればそれを持って行くため領主の屋敷に入れるだろ? そこで何かしらの証拠が掴めないかと思ってな」
「ふむふむ...なるほど...具体的には?」
「それは...これから考える...」
ラキの質問にユウは元気なく答えた。どうやらそこまでは考えていなかったようである。
「...まあ、よかろう。採取依頼なだけあって、ランクに関係なく受けられそうじゃしな」
「そうだろ?」
途端にユウが元気になる。
「じゃがな、マンドラゴラを採取するのは容易ではないぞ?」
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それまで黙っていたリオがそう宣言する?
「「「 本当か(ですか)!? 」」」
みんなに詰め寄られてリオがたじたじとなる。
『ち、近くまで行ければだよ? あんまし遠いとさすがに無理だよ?』
「それで十分だ! 早速依頼を受けよう!」
こうして領主の依頼であるマンドラゴラの採取を引き受けることになった。
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