絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

文字の大きさ
上 下
58 / 130

第58話 新しい依頼

しおりを挟む
 如何にも成金趣味といった感じの、派手に金ピカで彩られた馬車から降りて来たのは、でっぷりと太った赤ら顔の中年男だった。

 葉巻を咥えながら尊大な態度で歩いている。周りに居た人々が「ガイエル様だ」「領主様だ」と口々に言っている。

 コイツか! 思わずユウが睨み付ける。リオを抱いたアリィの表情が固くなる。リオが牙を覗かせる。そんな中、ガイエルはゆったりと歩いてレストランに入っていった。

「どうした?」

 大人モードになって着替えたラキが戻って来て、ただならぬ雰囲気に気付いた。

「...あいつが...領主が居た...」

 ユウが血を吐くように言った。

「そうか...」

 ラキはユウの肩を抱きながら、

「今は我慢じゃ...」

 そう言ってその場から離れるように促した。


◇◇◇


 領都の冒険者ギルドは、ベントの町にあったものよりも規模が大きかった。中に入ると冒険者の姿はほとんどなかった。みんな仕事にでも出てるのだろうか。

「それで? まず何を探る?」

 ラキがユウに尋ねる。幾分落ち着いたユウは、

「まず依頼を確認しよう」

 そう言って依頼ボードに足を向ける。次々と依頼を確認していって、

「あった! これだ!」

 一つの依頼を指差す。

「どれどれ...なになに...マンドラゴラの採取依頼? これがどうかしたのか?」

 ラキが確認して首を傾げる。

「依頼主の所を見てみろ」

「これは...なるほどな」

「領主が依頼主ですか...」

 ラキとアリィも得心がいったようだ。

「あぁ、依頼を達成すればそれを持って行くため領主の屋敷に入れるだろ? そこで何かしらの証拠が掴めないかと思ってな」

「ふむふむ...なるほど...具体的には?」

「それは...これから考える...」

 ラキの質問にユウは元気なく答えた。どうやらそこまでは考えていなかったようである。

「...まあ、よかろう。採取依頼なだけあって、ランクに関係なく受けられそうじゃしな」

「そうだろ?」

 途端にユウが元気になる。

「じゃがな、マンドラゴラを採取するのは容易ではないぞ?」

「そうなのか...」

 またユウが元気をなくした。非常に浮き沈みが激しい。

『多分だけど、リオなら鼻が利くから見付けられると思うよ?』

 それまで黙っていたリオがそう宣言する?

「「「 本当か(ですか)!? 」」」

 みんなに詰め寄られてリオがたじたじとなる。

『ち、近くまで行ければだよ? あんまし遠いとさすがに無理だよ?』

「それで十分だ! 早速依頼を受けよう!」

 こうして領主の依頼であるマンドラゴラの採取を引き受けることになった。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...