絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第57話 領都探索

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 四人で一頻り泣いた。

 涙が治まった後、これからのことを相談し始める。

「町ごと焼き払うか?」

 とラキが言えば、

「いや、そこまでしなくても領主の屋敷だけでいいだろ?」

 ユウも続く。

「それだと確実じゃありません。領主をどこかに呼び出して、確実に殺るというのはどうでしょう?」
 
 アリィもノリノリだ。

「おっ!? それいいな! どうやって呼び出す?」

「獣人の子を見付けたって言えば、喜んで飛んで来ると思いません?」

「なるほどの。エサに釣られてノコノコやって来た奴をプチッと殺る訳じゃな。ふぉっふぉっふぉっ、アリィよ、お主も中々の悪よのう」

「なんのなんの、お代官様ほどじゃございやせん」

「「 ふぉっふぉっふぉっ~! 」」

「ね、ねぇ! 一体なんの話をしてるの~?」

 ラキとアリィが悪代官と悪徳商人の寸劇を始めたところで、堪らずリオが割って入った。

「「「 どうやって領主を殺るかだが(ですけど)? 」」」

 それがなにか? と言わんばかりに三人が見事にハモった。

「だ、ダメだよ~! そんなことしちゃダメ~!」

「悪いがリオ、これはもう決定事項なんだ」

「リオちゃんのご両親と村の人達の敵討ちなんです」

「どういう風に殺ろうかの~」

 三人の目は完全にイッちゃってる。
 
「とにかくダメ~! そんなことリオは望んでないんだからね~!」
 
「しかしだなリオ...」

「しかしもかかしもない! リオのことを思ってくれてるのは分かるけど、そんなことしたらユウ達も悪い領主と同じになっちゃうんだよ? リオのために手を汚されたって全然嬉しくないよ!」

 そう言われてしまうとユウ達も我に返ったのか、少し気まずげに顔を見合わせた。 
 
「...じゃあどうする?」

 ユウが代表して皆に問い掛ける。

「領主の悪事を暴いて国に訴えるんだよ! 最初っからそういう話だったでしょ? 忘れちゃったの?」

「いや、覚えてるが...リオはそれだけで本当にいいのか?」

 ユウは納得していない顔だ。

「いいって言ってるじゃん!」

「二人はどうだ?」

 ユウはアリィとラキに問い掛ける。

「リオちゃんがそう言うなら...」

「釈然とせんが...リオがそう望むなら...」

 二人は渋々ではあるが、納得したようだ。

「分かった。じゃあ情報収集も兼ねて領都を探索するか。昼間の顔をまだ見てないしな」

「「「 了解!」」」


◇◇◇


 領都ダレスの大通りは昼間から人で溢れていた。

「凄い人だな.. アリィ、ラキ、逸れないように注意しろ」

「ラキ、手を繋ぎましょう」

「子供扱いされてるようで嫌なんじゃが仕方ないか。じゃがアリィよ、片手でリオを抱っこしながらではキツイじゃろ。妾が抱っこし」

「大丈夫ですから!」

 アリィは皆まで言わせなかった。

「ラキ、冒険者ギルドはどっちだ?」

「なんじゃ? 依頼でも受けるのか?」

「いや、なにか情報がないかと思ってな」

「案内してもいいが、知り合いがおるかも知れんから子供の姿じゃとマズいな。ちとその辺で着替えて来るから待っておれ」

 そう言ってラキは路地裏に消えた。

 ちょうどその時、大通りにやたら豪華な馬車が現れた。


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