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第44話 情報収集
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ユウの話を聞き終えたラキは顔を歪めて、
「なんともまぁ...呆れた話じゃな...まだそんな愚かしいことを続けている輩がおるとは...確かに獣人族に対する差別はあった。奴隷のような扱いを受けていたとも聞く。じゃがそれは大昔の話じゃ。今は全ての人族が平等を謳っておる。ドワーフもエルフも竜人族も。そしてもちろん獣人族もじゃ。それなのに...全く、嘆かわしい限りじゃな...」
あぁ、やっぱりドワーフやエルフも居るんだな。さすがはファンタジー世界。なんて場違いなことをユウは考えていた。
「もしかして、竜人も差別とかされたりしてたのか?」
「昔はあったと聞く。竜人族の子供が拐われたりしたらしい。じゃがその報復として、人間の国を1つか2つ滅ぼしてからは人間達から恐れられるようになって、竜人族に手を出す者はいなくなったらしいの。まぁ元々、妾達竜人族はそれほど他種族と交流をして来なかったからな。向こうから手を出さなければ、こちらからも手は出さんよ」
「な、なるほど...」
触らぬ神に祟りなしね...
「それで欲しい情報というのは、リオ達獣人族の村がどうなったのか? というのと、拐われた子供達が今どこに居るのか? この2点じゃな?」
「あぁ、その通りだ」
「知ってどうする?」
そこでいったんユウは、不安そうな顔をしているリオの頭を優しく撫でた。
「村の状況がどうであれ、リオを帰すつもりは無い。帰したらまた拐われるのがオチだからな。それとリオの仲間の子供達が囚われているなら、どうにかして助けてやりたい。そして最終的にはここのクソッタレ領主をぶっ飛ばして罪を認めさせ、国に突き出して獣人に対する差別を撤廃したい」
ラキはユウの言葉をゆっくりと噛み締めた後、こう言った。
「良かろう。妾も手を貸す。一緒に悪領主を追い詰めようぞ」
「ラキ! ありがとう!」
リオが涙目になりながら嬉しそうに微笑む。
「あぁ、よろしく頼む」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ユウとアリィも続いた。
「さて、では早速情報を得るために動くとするかの」
そう言って立ち上がるラキをユウが止める。
「もう外は暗くなるぞ? 明日からでいいだろ?」
「いいや、寧ろこれからじゃよ。そろそろ酒場が開く時間じゃろ? 酒場には色々な情報が溢れておるからの。表の情報も裏の情報もじゃ」
「酒場って...ラキの年齢じゃ入れて貰えないだろ?」
この世界がいくつから飲酒可能なのか知らないが、いくらなんでも子供に酒は出さないだろう。
「あぁ、そう言えば言ってなかったな。子供の姿で居るのはエネルギー消費を抑えるためじゃ。酒場に行く時は大人の姿で行く。そのためにリュックには大人用の服も入れてある」
「そうなのか...なぁ、だったら俺も連れて行ってくれないか?」
「構わんよ。外に出たら背中に乗れ」
そう言ってラキはリュックをユウに預ける。
「あ、あの、リオ達は?」
「お主とアリィはさすがに無理じゃな。おとなしく留守番しておれ」
「わ、分かりました。気を付けて下さいね?」
「念のため、この家全体にバリヤを張っておくから安心してくれ。じゃあ行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
こうしてユウ達は、初めて別行動を取ることになった。
「なんともまぁ...呆れた話じゃな...まだそんな愚かしいことを続けている輩がおるとは...確かに獣人族に対する差別はあった。奴隷のような扱いを受けていたとも聞く。じゃがそれは大昔の話じゃ。今は全ての人族が平等を謳っておる。ドワーフもエルフも竜人族も。そしてもちろん獣人族もじゃ。それなのに...全く、嘆かわしい限りじゃな...」
あぁ、やっぱりドワーフやエルフも居るんだな。さすがはファンタジー世界。なんて場違いなことをユウは考えていた。
「もしかして、竜人も差別とかされたりしてたのか?」
「昔はあったと聞く。竜人族の子供が拐われたりしたらしい。じゃがその報復として、人間の国を1つか2つ滅ぼしてからは人間達から恐れられるようになって、竜人族に手を出す者はいなくなったらしいの。まぁ元々、妾達竜人族はそれほど他種族と交流をして来なかったからな。向こうから手を出さなければ、こちらからも手は出さんよ」
「な、なるほど...」
触らぬ神に祟りなしね...
「それで欲しい情報というのは、リオ達獣人族の村がどうなったのか? というのと、拐われた子供達が今どこに居るのか? この2点じゃな?」
「あぁ、その通りだ」
「知ってどうする?」
そこでいったんユウは、不安そうな顔をしているリオの頭を優しく撫でた。
「村の状況がどうであれ、リオを帰すつもりは無い。帰したらまた拐われるのがオチだからな。それとリオの仲間の子供達が囚われているなら、どうにかして助けてやりたい。そして最終的にはここのクソッタレ領主をぶっ飛ばして罪を認めさせ、国に突き出して獣人に対する差別を撤廃したい」
ラキはユウの言葉をゆっくりと噛み締めた後、こう言った。
「良かろう。妾も手を貸す。一緒に悪領主を追い詰めようぞ」
「ラキ! ありがとう!」
リオが涙目になりながら嬉しそうに微笑む。
「あぁ、よろしく頼む」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ユウとアリィも続いた。
「さて、では早速情報を得るために動くとするかの」
そう言って立ち上がるラキをユウが止める。
「もう外は暗くなるぞ? 明日からでいいだろ?」
「いいや、寧ろこれからじゃよ。そろそろ酒場が開く時間じゃろ? 酒場には色々な情報が溢れておるからの。表の情報も裏の情報もじゃ」
「酒場って...ラキの年齢じゃ入れて貰えないだろ?」
この世界がいくつから飲酒可能なのか知らないが、いくらなんでも子供に酒は出さないだろう。
「あぁ、そう言えば言ってなかったな。子供の姿で居るのはエネルギー消費を抑えるためじゃ。酒場に行く時は大人の姿で行く。そのためにリュックには大人用の服も入れてある」
「そうなのか...なぁ、だったら俺も連れて行ってくれないか?」
「構わんよ。外に出たら背中に乗れ」
そう言ってラキはリュックをユウに預ける。
「あ、あの、リオ達は?」
「お主とアリィはさすがに無理じゃな。おとなしく留守番しておれ」
「わ、分かりました。気を付けて下さいね?」
「念のため、この家全体にバリヤを張っておくから安心してくれ。じゃあ行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
こうしてユウ達は、初めて別行動を取ることになった。
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