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第32話 異世界料理
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「お待たせしました。こちらが代金の100万ディナルとなります。この金額でよろしければサインをお願い致します」
受付のお姉さんに良い笑顔で言われたが、正直言って相場が分からないのでなんとも言えない。
『ひゃ、100万~!?』
リオのビックリ念話が飛んで来たので、ユウも念話で返してみる。
『リオ、この金額は妥当なのか? 相場って分かるか?』
『分かんないけど、リオ、そんな大金見たことないよ~』
『あ、あの、取り敢えず元手が欲しいところですし、了承しちゃっていいんじゃないでしょうか? ギルドの人が騙して安く買い取ろうなんてしないと思いますし...』
アリィも参加して来た。
『確かにそうだな。ギルドの信用にも関わるしな』
「あの...お客様!?」
長い時間沈黙してたら、受付のお姉さんが不安気に促して来た。
「あ、あぁ、すまん。その金額で構わない。サインはここでいいのか?」
「はい、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」
こうしてユウ達は、この世界のお金を初めて手にした。ズシリと重みのある紙幣の束は、なんだか日本の紙幣を彷彿とさせたので、ユウは少し微妙な表情を浮かべた。
◇◇◇
「さてと、金も手に入ったんでまずは買い物だな。地図ってどの店で売ってんだ?」
『ねぇ、先になんか食べない? リオ、お腹空いちゃった』
「私も小腹が空きました。ちょっと早いけどお昼にしません?」
「そうするか。どこで食べる?」
『あそこ~! さっきから良い匂いがしてるんだよ~!』
リオの視線の先にあったのは、屋台が並んでいる広場だった。
「屋台か。確かにいいな。アリィもそれでいいか?」
「えぇ、屋台で食べるの久し振りです」
「じゃあ決まりだな。金はあるから色々と食べ比べてみよう」
『やった~♪』
そうして片っ端から屋台を覗いては買い込んで行った。
◇◇◇
「さすがに買い過ぎたかな...」
広場はオープンカフェのようになっていて、テーブルと椅子のセットが何組かある。その内の一つに買って来た商品を並べてみたら、テーブルが一杯になってしまった。
『大丈夫! リオが沢山食べるから!』
いや、子犬サイズで言われても...そう思ったが口には出さない。
「取り敢えず、冷めちゃう前に頂きましょう」
「そうだな」
『頂きま~す♪』
ユウとアリィにとっては初めて口にする異世界料理だ。期待半分不安半分で口に入れたのだが...
「「 ...... 」」
不安の方が勝ってしまった...とにかく味付けが濃過ぎるのだ。肉を焼いただけの料理がほとんどだが、牛肉や豚肉、鶏肉と思われるモノ全てにおいて、かなりの量の塩、胡椒を振り撒いたと思われるしょっぱさだ。
繊細な日本の味付けに慣れているユウとアリィの二人にとって、この料理を食べるのは拷問に近い。一口か二口摘まんだだけで、あとは二人ともひたすら水筒の水を飲んでいた。
火を通したモノならともかく、生水を飲むのは怖かったので、水筒に日本の水を入れて来て正解だった。
『あれ? どうしたの? 二人とも食べないの?』
「あ、あぁ、ちょっと食欲がなくてな...」
「え、えぇ、私もなんです。リオちゃん、良かったら全部食べてしまっても構いませんよ?」
異世界の料理を美味しそうにパクついているリオに申し訳なくてそう言った二人だったが、
『う~ん...実はリオもあんまり美味しく感じないんだよね~ なんでだろ? 前はこんなことなかったのになぁ~』
どうやらリオも日本の味に慣れて来ているようだ。結局、沢山買い込んだ料理のほとんどを捨てるハメになってしまった。異世界の洗礼と言う程でもないが、後味の悪い結果となった。
受付のお姉さんに良い笑顔で言われたが、正直言って相場が分からないのでなんとも言えない。
『ひゃ、100万~!?』
リオのビックリ念話が飛んで来たので、ユウも念話で返してみる。
『リオ、この金額は妥当なのか? 相場って分かるか?』
『分かんないけど、リオ、そんな大金見たことないよ~』
『あ、あの、取り敢えず元手が欲しいところですし、了承しちゃっていいんじゃないでしょうか? ギルドの人が騙して安く買い取ろうなんてしないと思いますし...』
アリィも参加して来た。
『確かにそうだな。ギルドの信用にも関わるしな』
「あの...お客様!?」
長い時間沈黙してたら、受付のお姉さんが不安気に促して来た。
「あ、あぁ、すまん。その金額で構わない。サインはここでいいのか?」
「はい、ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」
こうしてユウ達は、この世界のお金を初めて手にした。ズシリと重みのある紙幣の束は、なんだか日本の紙幣を彷彿とさせたので、ユウは少し微妙な表情を浮かべた。
◇◇◇
「さてと、金も手に入ったんでまずは買い物だな。地図ってどの店で売ってんだ?」
『ねぇ、先になんか食べない? リオ、お腹空いちゃった』
「私も小腹が空きました。ちょっと早いけどお昼にしません?」
「そうするか。どこで食べる?」
『あそこ~! さっきから良い匂いがしてるんだよ~!』
リオの視線の先にあったのは、屋台が並んでいる広場だった。
「屋台か。確かにいいな。アリィもそれでいいか?」
「えぇ、屋台で食べるの久し振りです」
「じゃあ決まりだな。金はあるから色々と食べ比べてみよう」
『やった~♪』
そうして片っ端から屋台を覗いては買い込んで行った。
◇◇◇
「さすがに買い過ぎたかな...」
広場はオープンカフェのようになっていて、テーブルと椅子のセットが何組かある。その内の一つに買って来た商品を並べてみたら、テーブルが一杯になってしまった。
『大丈夫! リオが沢山食べるから!』
いや、子犬サイズで言われても...そう思ったが口には出さない。
「取り敢えず、冷めちゃう前に頂きましょう」
「そうだな」
『頂きま~す♪』
ユウとアリィにとっては初めて口にする異世界料理だ。期待半分不安半分で口に入れたのだが...
「「 ...... 」」
不安の方が勝ってしまった...とにかく味付けが濃過ぎるのだ。肉を焼いただけの料理がほとんどだが、牛肉や豚肉、鶏肉と思われるモノ全てにおいて、かなりの量の塩、胡椒を振り撒いたと思われるしょっぱさだ。
繊細な日本の味付けに慣れているユウとアリィの二人にとって、この料理を食べるのは拷問に近い。一口か二口摘まんだだけで、あとは二人ともひたすら水筒の水を飲んでいた。
火を通したモノならともかく、生水を飲むのは怖かったので、水筒に日本の水を入れて来て正解だった。
『あれ? どうしたの? 二人とも食べないの?』
「あ、あぁ、ちょっと食欲がなくてな...」
「え、えぇ、私もなんです。リオちゃん、良かったら全部食べてしまっても構いませんよ?」
異世界の料理を美味しそうにパクついているリオに申し訳なくてそう言った二人だったが、
『う~ん...実はリオもあんまり美味しく感じないんだよね~ なんでだろ? 前はこんなことなかったのになぁ~』
どうやらリオも日本の味に慣れて来ているようだ。結局、沢山買い込んだ料理のほとんどを捨てるハメになってしまった。異世界の洗礼と言う程でもないが、後味の悪い結果となった。
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