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第30話 異世界の非常識
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『えいごって何?』
リオが念話で尋ねてくる。
「あ、あぁ、その...俺達の居た国で使われる言葉の内の一つだ」
ユウは説明に苦慮する。
『ふうん、そうなんだ。じゃあ読めるんだね?』
「あぁ、あそこにあるプレートには『ようこそ、ベントの町へ』って書いてあるんだろ?」
『うん、そうだよ~ 翻訳要らなかったね~』
ユウがアリィに耳元で囁く。
「ちなみにアリィ、英語の方は?」
「私の学校、カトリック系だったので英語は日常でした。だから問題ありません。ユウは?」
「俺も会社が外資系だったから問題ない。しかし...まさか異世界でアルファベットを見ることになるなんてな...」
「全くですね...違和感が半端ないです...」
『二人ともどうしたの~?』
「「 な、なんでもないよ! 」」
二人の声がキレイに揃った。喋りながら門を潜ろうとした所、警備員に止められた。
「ちょっと待った。あんたら見ない顔と格好だな。旅行者か?」
今日も今日とて、二人は安定のジャージ姿である。
「あぁ、そうだ。それがどうかしたのか?」
まさか止められるとは思わなかったので、リオを抱くアリィの手に思わず力が入る。
「この町に入りたいなら、通行税を払ってもらわんと」
「なに!? 町に入るだけでか!? そんなバカな話があるのか!?」
ユウは呆れた。通行税なんていつの時代の話だと。そう思った後、ここは異世界で日本の常識は通用しないんだと、通行税も普通にある世界なんだなと認識を改めた...のだが、警備員が申し訳なさそうに言った次の言葉でキレそうになる。
「いやぁ、済まんな...俺もそう思うよ。前の領主様の時は通行税なんて徴収してなかったんだが、今の領主様になってからはなぁ...悪いがこれも仕事なんで勘弁してくれ。1人500ディナルだ」
あんのクソ領主! 碌なことしかしやがらねぇ! 異世界でも非常識なんじゃねぇか!
「なら仕方ないが、困ったな...実はまだ両替してないんで、この国の金が無いんだ」
というより無一文なんだが。それをバカ正直に言うつもりはない。
「あぁ、なるほど。そりゃそうだよな。旅行者なら当然だ。ちなみに、あんたらどこから来たんだ?」
これにはユウも答えに詰まった。なにか適当な国の名前を...
「あ、あぁ、東の方にある小さな島国なんだが、ジパングっていうんだ」
東方見聞録! マルコ・ポーロ! 咄嗟に浮かんだにしては上出来だと思うユウであった。隣でアリィは目を丸くしてるが。
「聞いたことない国だな」
「あ、あぁ、そうだろうな...なにせ遠い国だからな...」
そりゃそうだ。寧ろ知ってたらビックリだ。
「そういうことなら仕方ない。入っていいぞ。ただし、両替したら一度ここに戻って通行税を人数分支払うこと。いいな? 通行証はその時に渡してやる。通行証が無いと町から出ることも出来なくなるからな?」
「あぁ、済まない。分かった」
やっと中に入れた。三人はホッと胸を撫で下ろた。
「それにしても、ジパングって...」
アリィの呆れたような呟きは、聞こえなかったことにするユウであった。しょうがないじゃないか! 咄嗟に出ちゃったんだから!
リオが念話で尋ねてくる。
「あ、あぁ、その...俺達の居た国で使われる言葉の内の一つだ」
ユウは説明に苦慮する。
『ふうん、そうなんだ。じゃあ読めるんだね?』
「あぁ、あそこにあるプレートには『ようこそ、ベントの町へ』って書いてあるんだろ?」
『うん、そうだよ~ 翻訳要らなかったね~』
ユウがアリィに耳元で囁く。
「ちなみにアリィ、英語の方は?」
「私の学校、カトリック系だったので英語は日常でした。だから問題ありません。ユウは?」
「俺も会社が外資系だったから問題ない。しかし...まさか異世界でアルファベットを見ることになるなんてな...」
「全くですね...違和感が半端ないです...」
『二人ともどうしたの~?』
「「 な、なんでもないよ! 」」
二人の声がキレイに揃った。喋りながら門を潜ろうとした所、警備員に止められた。
「ちょっと待った。あんたら見ない顔と格好だな。旅行者か?」
今日も今日とて、二人は安定のジャージ姿である。
「あぁ、そうだ。それがどうかしたのか?」
まさか止められるとは思わなかったので、リオを抱くアリィの手に思わず力が入る。
「この町に入りたいなら、通行税を払ってもらわんと」
「なに!? 町に入るだけでか!? そんなバカな話があるのか!?」
ユウは呆れた。通行税なんていつの時代の話だと。そう思った後、ここは異世界で日本の常識は通用しないんだと、通行税も普通にある世界なんだなと認識を改めた...のだが、警備員が申し訳なさそうに言った次の言葉でキレそうになる。
「いやぁ、済まんな...俺もそう思うよ。前の領主様の時は通行税なんて徴収してなかったんだが、今の領主様になってからはなぁ...悪いがこれも仕事なんで勘弁してくれ。1人500ディナルだ」
あんのクソ領主! 碌なことしかしやがらねぇ! 異世界でも非常識なんじゃねぇか!
「なら仕方ないが、困ったな...実はまだ両替してないんで、この国の金が無いんだ」
というより無一文なんだが。それをバカ正直に言うつもりはない。
「あぁ、なるほど。そりゃそうだよな。旅行者なら当然だ。ちなみに、あんたらどこから来たんだ?」
これにはユウも答えに詰まった。なにか適当な国の名前を...
「あ、あぁ、東の方にある小さな島国なんだが、ジパングっていうんだ」
東方見聞録! マルコ・ポーロ! 咄嗟に浮かんだにしては上出来だと思うユウであった。隣でアリィは目を丸くしてるが。
「聞いたことない国だな」
「あ、あぁ、そうだろうな...なにせ遠い国だからな...」
そりゃそうだ。寧ろ知ってたらビックリだ。
「そういうことなら仕方ない。入っていいぞ。ただし、両替したら一度ここに戻って通行税を人数分支払うこと。いいな? 通行証はその時に渡してやる。通行証が無いと町から出ることも出来なくなるからな?」
「あぁ、済まない。分かった」
やっと中に入れた。三人はホッと胸を撫で下ろた。
「それにしても、ジパングって...」
アリィの呆れたような呟きは、聞こえなかったことにするユウであった。しょうがないじゃないか! 咄嗟に出ちゃったんだから!
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