絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

真理亜

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第24話 籠城

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「クソッ! この膜どうにか切れんか?」

「さっきからやってるよ。刀やナイフで切ってもビクともしねぇ!」

「ハンマーはどうだ?」

「そんな重いもん、持って来てねぇよ!」

「鍬は...さっきからやってるか...なにか...なにか手立てはないのか!?」

「なんもねぇな...」

「あったらさっさとやってるっての...」

「クソッ! お宝が目の前にあるってのに!?」

「こうなったら、ヤツらが出て来るのを待つしかないんじゃねぇのか?」

「ずっと見張ってるってのか?」

「交代で見張ればいいだろ?」

「じゃあそうするか。最初は誰にする?」

 それを聞いてユウはマズいなと思った。衣食住の心配はないから立て籠るのは問題ないとして、いつまでもここに居る訳にもいかない。ずっと家の中に居たらストレスが溜まるし、監視されている状況というのも精神衛生上よろしくないだろう。

 ヤツらが諦めてくれるのを待つのが一番だが、ここにこうして家が存在している以上、そう簡単に諦めるとは思えない。欲の皮が突っ張ってるヤツらだ。お宝を手にするまでは引き下がったりしないだろう。

 いっそ強行突破するか? バリヤで囲って移動すれば突破は出来るだろう。だがその後どうする? 移動手段が徒歩しかない以上、一度突破しても間違いなくヤツらは追って来るだろう。ずっと襲撃に脅える日々を過ごすことになる。それも精神的な負担が大きい。せめて馬車が手に入ればいいんだが...

 それともう一つ、突破する時にヤツらは、こっちを止めようと攻撃して来るだろう。出来ればリオとアリィを人から露骨に向けられる悪意に晒したくない。特にリオには。目の前で人の蛮行を見せ付けられたら、家族を失った時のトラウマが蘇ってしまうかも知れない。それはなんとしても避けたい。

 そう思いながらユウは、ではどうするのが最善かとずっと考えているが、中々結論は出なかった。

「なぁ、一つ思ったんだけどよ?」

「なにを?」

 しばらく静かだった連中の声がまた聞こえて来た。どうやら見張りに残ったヤツらのようだ。

「煙で燻してやれば堪んなくなって出て来んじゃね?」

「いいなそれ! 早速やってみようぜ! え~と...風下はこっちだな!」

 それを聞いてユウはマズいと思った。物理や魔法の攻撃は跳ね返せても、気体の攻撃はさすがに無理だろう。ユウは焦った。二人を起こすべきか?

「うぇっ! ゴホッ! ゴホッ! け、煙い! た、堪らん! ゴホッ! ゴホッ!」

「ゴホッ! ゴホッ! こ、こっちが風下なのに!? な、なんで煙がこっち来るんだよ! ゴホッ! ゴホッ!」

「火ぃ消せ! ゴホッ! 早く! ゴホッ」

 気体の攻撃まで跳ね返すとは...

 いやどんだけ高性能なんだこのバリヤ × 2

 ユウはしばし呆気に取られていた。
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